スーパーウォーク 99

八高線沿線ウォーキング(赤まる市場〜八王子野猿)

テーマ 人は、100kmを1泊2日で歩けるか?

スタート 赤まる市場(関越道前橋インターそば)

ゴール ラブラブ野猿店(八王子市大塚)

コース全行程:111.0km    経由:八高線沿い

実施:1999年1月1・2日

世紀末1999年。その幕開けにふさわしい狂気の企画〜群馬県前橋市から東京都八王子市まで、総延長111.0kmを48時間以内に歩く〜というあまりにも無謀な企画がスタートした。

 とりあえず1998年の大晦日の深夜に新前橋に向かうべく、大晦日の夜、仕事がはねた後、八王子から八高線に乗りこんだ。高麗川以北の八高線はディーゼルカーで、わりあい新しい種類の110系という車で運行されている。2+1列のクロスシートの配列で構成されているので一人旅には最適である。列車の中で弁当など食いつつ高崎へ、上越線に乗り換え、すっかり静まった新前橋におりたつ。

 北関東地区屈指のショッピングセンター「赤まる市場」は、新前橋から歩道橋で北口へおりて、北へ進み国道17号線にであい、左折して前橋インターの方へ向かうとある。新前橋から歩いて15分程度である。でんきのセキドや、ホームセンターラブラブなど実力派の量販店が入っており、昼間は大変な活況を呈する赤まる市場もこの時間になると寥として静まり返っている。

前半 赤まる市場〜群馬藤岡〜児玉〜寄居〜小川町〜越生

1999年1月1日

距離:62.3km

2315赤まる市場スタートー012高崎インターー038下大類町東ー056綿貫町ー113柳瀬橋ー203群馬藤岡ー223藤武橋ー239元阿保ー320児玉420−452児玉警察署ー542野中ー645寄居ー758金勝山トンネルー920小川町ー1129都幾川田中ー1247越生 (前半タイム:12時間32分)

 赤まる市場から、関越道の側道を歩きはじめる。深夜なので静まり返っており、非常に不気味である。ときどき車が轟然と通りすぎてゆく。気味悪い道だが、藤岡方面への近道なので仕方ない。が、明らかなオーバーペースで進みまくった。途中、どこからか数発の花火が上がり、新しい年の到来を告げる。高崎インターから県道を群馬藤岡方面に向かい歩く。さしたる苦難もなく深夜の街道を進み、さしたる苦難もなく、鳥川にかかる柳瀬橋を渡る。トラスの車道橋と歩道がわかれている。柳瀬橋を渡るとほどなく国道17号を横切り藤岡市街に入ってゆく。

 上越新幹線及び上信越道の下をくぐり、藤岡の町を歩き群馬藤岡まで3時間足らずで着いた。まずは快調な滑り出しである。八高線の踏切を過ぎ、小林で国道254号に入り、ほどなく神流川にかかる藤武橋である。川幅のわりにはやたらと長い橋であった。しかしともかくこれで早くも埼玉県入りである。20km経過。

 埼玉県児玉郡神川町に入り、闇夜の田園地帯をひたすら黙々と歩く。3時20分、児玉の街道沿いのファミりーレストランで休憩。今年初めての食事はハンバーグ&エビフライである。

 30km経過と共に足がすこし張ってきた。寒さが厳しく、それが足の関節をぎくしゃくさせているようだ。児玉町から美里町に入るがあたりは物静かな田園地帯である。野中交叉点を右折するころ東の空がしらしら明けて来た。八高線の始発の汽笛の音が響く。寄居町に入り玉淀大橋で荒川を渡る。橋の上で初日の出を見よう、撮ろうと待機する人が多い。40km経過。

 それまでは概ね平坦な田園歩きだったが、ここからはアップダウンが連続する。八高線沿線には川が山から平野へと落ちる境目の町、つまり谷口集落が多く、これからは谷口から谷口へと上り下りさせられるわけだ。やれやれと小川町へののぼりにかかる。寄居の街を過ぎて丘陵を登って行くところで初日の出を拝む。ゆるい登りを続け、小川町との境である金勝山トンネル(そんなに長くない)に入った。

 そろそろ眠くなってきた。前日は仕事でそのまま夜通し歩いているのでフラフラである。トンネルの出口でしばしうずくまりウトウトする。小川バイパスを小川町めがけての下り。角山上で永らくつきあってきた国道254号を離れ、小川町に入ってゆく。八高線及び東武線を陸橋でまたぎ、古い家並みが目立つ小川町に着いた。50km経過

 そろそろ足が言うことを聞かなくなってきたが明日のことを考え、とりあえず越生までは行くことにし、県道飯能寄居線を登りゆく。八高線と寄り添いながらの桑畑の登りである。峠を越えると、玉川村に入り、さらにいったん下ってまたも登ると都幾川村に入る。このあたりで足は完全にいうことをきかなくなってきて、相当のスローペースであり、睡眠不足で体も不調。小川町から都幾川田中までの6.7kmに2時間9分もかかっている。時速4kmを割っている現状はウォーキングにあらずと判断したわたしは、初日の越生打ち切りを決意した。

 都幾川からさらに登り、丘を越えて越生町に入る。60km経過。ここからもかなり歩き(歩かされた気がしたのだ)黒山入口を過ぎると古い家並みや古びた商店が目につくようになり、越生駅も近い。ふらつく足取りで越生駅に着き、八高線の列車に転がり込んだ。

 63km歩いてバッタリ自宅の布団に潜り、起きたのは翌朝10時であった。今日も快晴である。膝を曲げて見るが、痛みはあまりない。よし、続きをやろうと決意し豊田行きのバスに乗りこむ。かかるアホらしい企画は正月のうちにやってしまうに限る・・・・

後半 越生〜飯能〜瑞穂〜八王子高倉〜野猿

1999年1月2日

距離:48.7km(2日間合計111.0km)

1317越生ー1347毛呂ー1439南平沢ー1500高麗川ー1600飯能ー1709金子ー1822箱根ヶ崎ー1934拝島ー1950山田うどん2020−2039堂方上ー2105左入町ー2200高倉町ー2238平山ー2337八王子大塚

タイム:9時間50分(2日間合計22時間22分)

 24時間前フラフラの体で辿りついた越生駅に下り立ち、早速南下を開始する。道が空いていた元旦に比べやや交通量が多く、街道歩きは面白いとは言えない。毛呂からはすこし街道を外れ、田園地帯を歩いてみる。

歩みを進め、日高市に入る。藤岡市以来の「市」である。なおも歩くと道路が高麗神社への初詣の車で渋滞を起こしていた。「高麗王」という濁り酒を売る店を過ぎ、高麗川を渡る。南平沢の交叉点を過ぎると日高市街に入り、高麗川駅を過ぎる。70km経過。ここから飯能までは山越えが控えているので、コーラを飲んで水分を補給する。

 ちびりちびりとコーラを飲みつつ坂を上がって行く。八高線も寄り添ってきて、雑木林の中を登る。ほどなく宮沢湖入り口を過ぎ、ここから飯能市街めがけてバイパスを一気に下る。あっけなく飯能の町に入り、でんきのセキド飯能店の前を過ぎる。そこから入間川めがけ南下する。腹が空いてきたが日没までに歩みをすすめておきたいので強引に進む。入間川を渡り、金子へとまたも上り坂である。この上り坂はゆるい登りが長く続き、歩道がないので危ない。あたりは暗くなり、夜の帳がおりた。80km経過

 やがてわずかに下ると、金子への入口にたどり着く。金子はローカルティックな駅で駅前には何もない。このあたりで食事にしようかと思っていたがレストランはおろかコンビニもない。空きっ腹を抱えながら南下するとあたり一面茶畑になってしまった。灯りはぽつ、ぽつとしか見えず、今までで一番さびしいところである。県央道をまたぎ、工場団地やゴルフ場の中を進んでも何もない所である。前方に大きな灯りの看板があったが、近づいてみるとガソリンスタンドであった。車の餌より人の餌が欲しいのだが。

 狭山ゴルフクラブの間を抜けると、ようやく東京都に入る。瑞穂町だ。ぱっとしない道を延々あるくと、セルフ式スタンドの横から国道16号瑞穂バイパスに出る。この道を通っても良いのだが遠回りになるので16号本線に向かい南下する。そして私は4枚用意したロードマップのコピーの最後の一枚を取り出した。

 空腹が限界に達した。このままでは歩行に支障をきたすので、店を空けていた、小さいのにポイントカードを導入している酒店に入り、店内を物色する。弁当やパンなどあるはずがなく、レーズンパイとかりん糖を買う。かりん糖をバリバリ頬張りながら南下して行く。甘ったるいので体に力が入ってゆく感じである。寒くなってきたので自販機で缶コーヒーも買った。かりん糖は硬く、歩きながら食べたので誤って自分の口腔内をかんでしまい、血豆ができる。

 物淋しい食事が終わると狭山神社の横から国道16号に飛び出す。あとは八王子までここを歩きつづければ良い。箱根ヶ崎を過ぎると左手は横田基地である。滑走路の灯りがブルーダイヤのようである。90km経過。横文字の店や米軍放出品を売る店が多い。距離的には長かったが退屈はしなかった。左は滑走路と飛行機と米軍ハウス、右にはインターナショナルな店の数々を見ているうちに、羽村市を過ぎ、福生市に入る。そして大きな拝島駅を陸橋で渡り、奥多摩街道に合流して拝島橋へ向かう。

 山田うどんで本格的な夕食をしたあと最後の頑張りだと体に言い聞かせ、スパートをかける。堂方上を右折し、スパ昭島の横を過ぎると拝島橋である。多摩川の流れは細いが橋は太く長い。ゴミ焼却場の大きい煙突の横を過ぎると、いよいよ、ついに、八王子市である。

 左入から16号バイパスに入り石川入口を過ぎ、中央道をくぐる。100Km経過。八王子の住宅街に入ってゆく。もはやここまできたら気合である。ほどなくムラウチ電気の看板が見え、国道20号に飛び出す。そこを左折し甲州街道を東に進む。長く付き合った八高線を横切り、陸橋の上から北八王子駅を瞥見する。20号バイパスに入り、高倉町の商業集積地に入った。すでに午後十時、店はとっくに閉まり静寂が漂うばかりである。

 疲れたが予定通り自宅のある野猿まで歩くことにする。旭ヶ丘から工場地帯を過ぎ、豊田陸橋で中央線を越し、平山橋で浅川を渡り、平山陸橋で京王線を越える。ここからは多摩丘陵の登り下りで、ここ2日で100km歩いた身にはこたえる登り下りだ。中央大学の前を通り、野猿街道にたどり着く。前日に続き足がおかしくなってきた。どうも1日50kmがひとつの限界らしい。手足は寒風に吹かれて冷え切っているが体の中はオーバーヒートして熱く、寒いのに冷たい飲み物が欲しくなり今日2本目のコーラを飲む。

 モノレールの下をくぐり、ゴールのラブラブ野猿店にたどりついたのは深夜11時38分であった。足はガクガクし、気持ちも悪くなってきた。自宅に戻りつきすぐさま布団に横になる。正月の酔狂なるイベントが終わった。

前橋赤まる市場から八王子大塚まで111.0kmを、22時間22分。

 

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