テーマ:人は正月3が日で、甲州街道をどこまで歩けるか。
スタート:八王子駅前 旭町アクセスビル
ゴール:行けるところまで?
第1日 八王子〜大月 49.5km 2000年1月1日
816八王子ー820横山町ー837追分ー903叶谷町ー1042夕焼小焼ー1115陣馬高原下ー1204和田峠1210ー1258和田ー1321佐野川ー1433上野原ー1607四方津ー1648梁川ー1741鳥沢ー1849猿橋ー1937大月
今年もスーパーウォーク大会をやろうと思い立ち、考えた企画は、正月三が日で八王子から甲州街道をどこまで歩けるかというとんでもないことになった。2日目の夜は韮崎市内のビジネスホテルを押さえて、逃げられないようにして、目標は長野県入りだと怪気炎を上げるも、どうなるかは分からぬ。
昨年は大晦日の夜から歩き始めたが、山梨県入りするためには和田峠か大垂水峠を越えねばならない。そんなところを通ったのではいろいろ厄介なことになりそうだし、いわゆる2000年問題もあるので元旦の朝、八王子スタートということになった。大晦日の夜、紅白がトリに近付く頃、風呂桶に水を張り、その瞬間を待ち何も起こらぬことを確認してから眠りにつく。元旦の朝8時16分に八王子駅前のアクセスビルをスタートした。横山町から甲州街道に入る。シャッターを下ろしたアーケード街を進んで行くと、ほどなく追分で、ここが陣馬街道との分岐である。人通りのない陣馬街道を進む。水無瀬橋で浅川を渡り、中央高速の下をくぐり、叶谷町の電気店の横を通り過ぎる。
弐分方の切り通しで大きくカーブを切り、陵北球場の横を通り、川原宿からいよいよ曲がりくねった陣馬みち歩きである。恩方地区から朝霜光る歩道を進む。夕焼小焼の農園施設が立派である。醍醐分岐を分け、なおも案下の奥へ分け入って行くとほどなく陣馬高原下のバス停である。バスで56分のところを3時間足らずだから効率が良い。ここから和田峠まではハイキングで何度も歩いている道だが、しんどいことに変わりはない。道は山肌に取り付きからみつくように高度をどんどん上げて和田峠着。元旦なので陣馬に登るハイカーも多い。
一息入れてから下りにかかる。靴が慣れぬせいか早くも足が痛くなってきてペースが上がらない。20km経過。富士山を見ながら勿体無いくらい高度を下げ、ささやかな和田の集落に入り、そこから県道を藤野方面に下ると上野原まで4kmの表示のある分岐である。そして丘を一つ越えて境川を少し下っていくと山梨県入りである。工業団地分岐を過ぎると20号に戻る。そして上野原の商店街を過ぎ、鶴川を渡る。30km経過。旧道を歩く予定だったが、足が痛いので距離の短い20号を選ぶ。さすがに交通量が多い。街道沿いのドライブインで遅い昼食をとり、四方津方向へただただ歩く。
桂川の谷が左手、右手は山である。梁川のあたりで暗くなってきたがまだまだ打ちきるわけには行かない。闇夜のヘル・ウォーキングは続く。国道と言っても一部歩道未整備の箇所があり、路側帯だけの所でカーブを切っているのは危ないなと思う。40Km経過。鳥沢を過ぎてもひたすらうねる道をのぼり気味に歩いていくと新猿橋で桂川を渡る。ここからは大月の街並みである。JR猿橋駅の先で高架で線路を越え、右手に桂川と線路と大月市街を見ながらのナイトウォーキングである。寒いが前進する。痛む足を引きずりながら歩くと大月の中心部に入り、ダイエー大月店の横を通ると大月駅の入口である。今日は足が痛いのでここで打ちきる。続きを明日やると思うとぞっとするが。足は数箇所に豆が出来ており左足親指の爪が紫色に変色している。家まで帰るのが本当に億劫だった。
第2日 大月〜石和 41.0km(累計90.5km)1月2日
1008大月ー1100真木ー1130初狩ー1311笹子ー1333新田ー1525旧笹子トンネルー1711日川橋ー1808勝沼柏尾ー1934日川橋南ー2048石和温泉駅
きょうは笹子峠越えという無理難題がまちかまえている。そのせいか何となく動作が緩慢になりスタート地点大月到着が遅れた。大月駅の立ち食いうどんで腹ごしらえをしたのち、甲州街道歩きを再開する。すぐに桂川を渡り、富士吉田方面への道を分け、上大月駅のそばを通る。笹子川沿いに山奥へ分け入って行く。大月インターから花咲地区を過ぎ、下真木を通って真木川を渡るとものさびしい街道歩きとなる。絶え間なく往来する車がわずらわしい。つまらない歩きなので初狩のローソンでポケットラジオを買い、箱根駅伝を聞きながら進む。笹子川を渡り、また渡り返し、山肌を巻いたりうねったりする道を歩きつづけ長い登りに辟易する。笹子の手前のドライブインでラーメンの昼食。60Km経過。
笹子駅を過ぎると20号は笹子トンネルめがけ高度を上げて行く。笹子トンネルは歩けない(全長3Kmの間歩道がなく、ひき殺されるおそれがある)のでしかたなく旧道を歩く。笹子トンネル手前のファミリーマートを過ぎると旧道が分岐する。箱根駅伝の往路は終わり、ラジオからめでたさいっぱいのお正月番組が流れているが当方の正念場はここからである。新田の村落を上まで登り切ると山腹にからみつく登りである。カーブにカーブをかさね、つづら折りの長い長いのぼり道を延々歩くと、矢立の杉分岐。そこからもひたすら登り道を歩きつづける。谷にはゴミが散乱している。対面の山の高みにもに道が見え、よもやあそこまでのぼるんかいなと思いつつ本当にそこまで登ってしまう。寒くなり、粉雪がパラッと落ちてきた。
最後に大きくヘアピンカーブを切りしばらく進むとようやく煉瓦造りの旧・笹子トンネル入口である。冬季通行止めであり、入口はゲートで塞がれていたが歩行者なら関係なかろうと思い、すりぬけてトンネルに入って行く。全長は400m程度であり、出口も見えるが照明は全くなく、不気味である。自分の手のひらさえも見えないまっ暗闇のトンネルの中を進む。懐中電灯を持ってくれば良かったと後悔する。トンネル内に滴り落ちた水滴が水溜りとなり凍った箇所があり、ヒヤリとする。RPG並みの正月早々の大冒険である。左手を壁につけ、真っ暗な中を慎重に歩く。入り口の光と出口の光が同じ大きさになり徐々に出口が大きくなり、ようやく、トンネルを抜けし所にあずまやがあったので一息入れ、パンを食べる。ここからはつまらない林道下りである。途中のコンクリート工場からはダンプのわだち跡が見え、路傍にはゴミが散乱している。正月にしか通れそうにない道である。70Km経過。
3冊目の怪しい捨てられた漫画雑誌を見かけると日影の集落が見えた。ここで2日目の陽が落ちた。日影の集落を下り、またまた20号と再会した。歩道はあるがUターンラッシュの影響下20号上りの交通量はやたら多い。日川のがけっぷちにつけられた20号を歩くと甲府盆地の夜景を一望できるようになり、ほどなく勝沼柏尾に着いた。今日はせめて石和までは行こうと思い、ブドウ畑の中を猛然と歩く。80Km経過。一宮町を過ぎ、夜のブドウ畑を牧丘や塩山の夜景を見ながらただただ歩く。自分は一体何をしておるのかといった自嘲が頭をもたげてくる。
日川橋南で国道411号線に入り、ようやく笛吹川沿いに出て、それを笛吹橋で渡ると目の前に石和の温泉街。ここからは駅まで温泉街を猛進する。ここからも案外長かった。温泉街を端から端まで歩くというのも面白い。大規模旅館が林立している。スナックやヌード劇場などの怪しい看板の立ち並ぶ温泉街を抜け、フラフラの体で石和温泉駅にたどりついた。90Km経過。電車で韮崎に向かい、ビジネスホテルに投宿する。足が動かぬ。大浴場に入るのも一苦労である。左足の親指が惨状を呈しており爪の中に膿が入っているらしく爪が盛り上がっており、触ると痛みが走る。メシを食いに行こうという気も失せ、ベッドに倒れこむ。
翌朝目がさめたのは8時前、足はひどく痛む。これでは長野県入りは絶望であると判断し、ゆっくり韮崎まで歩いて正月の酔狂な企画を終了させようと思った。ビジネスホテルで雑煮を食べてから駅へ向かう。甲府での接続がうまく行かず、石和に戻ったのは10時前であった。
第3日 石和〜韮崎 22.0km(累計112.5km)
950石和ー1035向町ニー1134中小河原ー1210グランパーク甲府1240ー1350竜王ー1445塩崎ー1604韮崎
よろよろと国道20号目ざし石和の町を南下し、20号にぶつかったところで右折する。平等川を渡り、甲府市街のロードサイドをふらふらと歩く。中小河原の陸橋を過ぎ、荒川を渡り、身延線を越えて国母の立体交差点を過ぎると甲府有数のショッピングセンター、グランパーク甲府である。ふらつく足取りでショッピングセンター内に入り、マックで昼食にする。正月のショッピングセンターは大賑わいであった。ブランドショップや衣料店では福袋が売られている。
一憩したのち、なおも甲州街道を歩きつづける。100Km経過。甲府昭和インターを過ぎ、広いロードサイドを歩く。竜王から再び2車線となり、市街地から釜無川沿いとなる。双葉町に入り、道がややのぼり気味になる。県道を分けてしばらく20号を進むと塩川を渡る。振り返れば富士山が見え、先には茅が岳や南アルプスまで見える。ようやく旅をしている実感がこみ上げてきた。
最後の力を振り絞りフラフラになりながらも釜無川沿いを歩きつづける。110km経過。船山橋らようやく韮崎市街に入り駅を目指し歩く。昨日泊ったホテルも見える。商店街を抜け、ガードをくぐりようやく韮崎駅に到着した。来年は諏訪まで歩くぞと思いつつ青い電車に私は乗りこんだ。明日からはまたハードワークデイズである。正月の酔狂なイベントがひとまず終わった。