餓鬼岳(北アルプス)2647m

2011年8月9日(火)  所要時間9時間0分 費用発生:23,500円

2354新宿・・・501信濃大町=530白沢登山口551−811最終水場ー1011大凪山ー1209餓鬼岳小屋−1214餓鬼岳1220−1225餓鬼岳小屋ー1420大凪山ー1540最終水場1550ー1800白沢登山口=1812信濃常盤・・・松本・・・八王子2134

例年、多忙でも北アルプスの山行と南アルプスの山行を1回ずつするよう心がけている。通俗的だがアルペンティックな良さがある北アルプス。今年はどこ行こうか。夏になるといつも考える。泊りがけを南アルプスのほうにまわしたので(でも南アルプス・鋸岳登山には失敗した)いろいろ考えたが、けっきょくまだ登っていないところをと考え、多少マイナーばところではあるが、餓鬼岳に登ろうと狙いをつける。この山は標高こそ2647mと少々物足りないが、とにかく名前が空恐ろしい。頂上のすぐそばにに山小屋があり、泊りがけで行くのが相当だろうが、無理をすれば日帰りも可能と判断し、「ムーンライト信州」のチケットを押さえた。

月曜日の夜、駅近くのそば屋で冷やしたぬきをかきこんだ後、新宿駅の列車ホームへ向かう。が、中央線の人身事故の影響で、まだ夜行快速は入線していない。暑いホームでポカリを飲みながら待ち疲れる頃、年季の入った旧国鉄特急型車両の6両編成が入ってきた。午前0時を過ぎても列車は発車しない。高尾行きの快速電車を優先させているようだ。やきもきするが、この夜行快速はダイヤに相当余裕を持たせてあるのでまあ信濃大町には定刻どおりだろうと考える。実際にもその通りであった。

目が覚めると列車は朝もやの中、安曇野を走っていた。5時1分、信濃大町着。駅前のタクシーに乗り込み「餓鬼岳の白沢登山口まで」と告げる。車は少し南下して信濃常盤駅のそばを通り、ここで西に折れ、大き目のアルプス公園の脇を通り、山奥の林道っぽいところへ分け入って数キロ走ったところが、白沢登山口であった。ここまでのタクシー代は四千円弱。おにぎりを2つ食べてから、歩き始める。数分で林道終点に出、登山道に入る。

まずは沢沿いの歩き。沢の流れを絡みながらの心地よい渓谷歩きは40分程度で、紅葉の滝を過ぎてから、ここを通過するのかと逡巡するくらい、少し緊張する箇所もあった。一歩足を踏み外せば渓谷へ転落する箇所もあり、難儀した。ロープや短いハシゴを使わされる区間も出る。高まきだけでなくルートの状況によって河原へ下降して再度高まく部分もあり、ややうんざりしてくる。それでも魚止めの滝あたりの渓谷美は見ごたえがあった。

だんだん水流が細くなって、歩き出しから2時間少々で、最終水場。ここで水分をたっぷり補給した後、登りにかかる。ここからの登りもはっきりいってえげつない。急峻な登りを経て、ガラ場をからみながら高度を稼ぐ。とはいっても先週の鋸岳角兵衛沢に比べれば格段に歩きやすく、一時間もこらえると、「落石注意」の道標を経て、尾根道に入ったことがわかり、なお高度を上げてゆくと、10時過ぎに大凪山に出た。ここで菓子パン2個の行動食。

ここまで晴れていたが、このあたりから霧が出てきた。暑くならないので助かるが、展望のことを考えると少し残念である。大凪山を過ぎてしばらくするといったん鞍部へ短い下り。最低鞍部から登り返してしばらくでまた登りが緩やかになった。それはいいのだが登山道の水はけが悪く泥濘と化しており、1回だけ足首まで泥に埋まった。ヤレヤレと思いながら、足の置き所を考えて歩く。そして道は再度登り基調となり、「百曲がり」と呼ばれるジグザグ道となった。この山、頂上に近づくほど道の様相が易しくなる妙な山である。地図に危険マークが打たれている箇所もあったが、何のことはない、登山道のすぐ左にガレ状の崩壊地があっただけ。

百曲がりの坂道を耐え、「頂上まで30分」の看板を見て、なお登ってゆくと「小屋まで10分」の標識。このあたりで頂上部の南側を巻き気味にゆるく上がってゆく様相となり、まだかなまだかなと思っているうちに、ひょっこり餓鬼岳小屋の裏手に出る。頂上まではあと5分なので頑張って登ることにし、右折して最後の登り。ここで森林限界に出て視界が開けた。ガスにさえぎられているがアルプス稜線の雰囲気をを味わう。頂上の標識へ、最後の頑張りをしのいで、12時14分餓鬼岳頂上到着。登るのに6時間あまりを要したのだから大変な山だ。遠望はきかないが、アルプスの俊峰をまたひとつ踏破したのだという思いに浸る。

2011hgaki02.jpg (36907 バイト)餓鬼岳頂上から、なんの気なしに撮った一枚。

相当疲れていたので餓鬼岳小屋に宿泊したい衝動に駆られたが、明日も仕事なので頑張って下らざるを得ない。小屋を後にして、巻き下りを経て百曲りの下りにかかる。こんなマイナーな山でも北アルプスなので、何人か登ってくる人はいる。道を空けながら身体を休め、百曲がりの下りを終え、どろどろ稜線歩きを耐えて、最低鞍部からの大凪山登り返しにも耐えて、14時過ぎに大凪山まで戻ってきた。ここで菓子パンの行動食。あときょうじゅうに東京に帰るために携帯電話で信濃大町のタクシー会社に電話し、白沢登山口18時でお迎えをお願いした。

大凪山からしばらくするとガレの下り。焦らず慎重に歩けばよかった。それでも最終水場まで長く感じた。一度だけ崩壊地を避けるための登り返しがあったりして難儀。きつい下りを耐えているうちに、沢音が徐々に大きくなり、水の流れを視認して、15時40分ころ、ようやく最終水場まで戻ってきた。沢の水をごくごく飲んで一息。

ここから峻険な渓谷歩きなのでストックをザックにしまったが、これは失敗で、それまでの下りはストックをついていたのでストック補助に慣れており足元が覚束なく、なんでもない下りでよろめいてしまう。慎重に慎重に、安全第一で下って、ロープの下りをしのぎ、落ちたらアウトと思われる箇所も耐える。紅葉の滝のあたりでやばいところを抜けたのでストックをもう一度取り出して進む。だがもう長時間の歩きで疲れきっている。このあたりで雨が落ちてきた。

沢の流れを橋でわたるところで靴を洗いスラックスの裾を洗う。そして最後の頑張りを経て6時少し前に林道に出た。泥にまみれた靴や服でタクシーに乗るのは憚られたので、サンダルに履き替え、スラックスも着替えた。傘を差して数分歩き、タクシーの待つ登山口まで戻ってきた。下るのにも5時間40分を要したのだから、この山は相当手ごわいと言わざるを得ない。タクシーは山から下りてくる客の扱いに慣れているのであろう、後部座席にブルーシートを敷いていた。タクシーで10分そこそこ、2000円そこそこで信濃常盤駅。大糸線の電車と特急あずさを乗り継ぎ、八王子には夜九時半に戻ってきた。

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