第5区 中川温泉ー山中湖

(MINAMO MIX)

 大学卒業を決め、大学生活の最後の最後を飾るに際しどこかへ行こうと思いつき、色々考えてみた。苦学生だった私は海外に卒業旅行というガラではない。ではどこへ行こうか、身も心も晴れ晴れとした気持ちになるところは・・・

そうだ、湖、行こう。

 大きくて穏やかな湖で富士も見える山中湖が良い。湖畔でたたずみ優しい風に吹かれるのも一興であろう。ただそこまで電車とバスで行っては面白くない。そうだ、途絶していた東海自然歩道で山中湖へ行こうか、でも菰釣山あたりは厳しい山だし避難小屋泊まりは嫌だし雪も残っているだろうと考えた私はズルイ手を使い山中湖まで歩くプランを練った。

1998年3月19日(木) 所要時間4時間38分

913中川温泉入口ー943浅瀬入口ー1020浅瀬ー1050山百合橋ー1131水ノ木橋ー1216切通沢橋ー1311切通峠ー1351平野ー1454山中湖旭ヶ丘

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(このコースは正規の東海自然歩道ではありません、どこかのガイドブックにサブコースとして記載されている世附川コースです。大半が林道歩き(車両通行止め・ダート)ですがまあまあ面白いので体力に自信のない方はこのコースでショートカットされることをおすすめします)※本コース2002年に歩きました、記録はこちらをご覧下さい

 小田急で新松田に出て4年前に小田原の海ツアーで立ち寄った箱根そばで朝食。そして御殿場線で谷峨、そのあと団体登山者満載のバスで中川温泉入口へ、ここから今来たバス道路を逆行し、ほどなくエメラルドグリーンの水をたたえた丹沢湖のほとりを行く。皮肉にも人造湖の方が湖畔が遊歩道やら公園にきっちり整備されている。バス道を30分ばかり戻ると浅瀬への県道である。いきなり全長530mの落合トンネルを歩かされる。

 浅瀬への道は車もほとんど通らず平穏であり、湖畔を眺めながらのウォーキングは楽しかった。浅瀬の集落をすぎると道幅が狭くなりダートの林道と化し一般者通行止めゲートをくぐる。ここからは単純な林道歩きで世附川の上流とべったりくっつきながらの歩きである。この沢を詰めれば山中湖。

(このコースは苦しくはないが、車道の分岐が多く、道標も切通峠までないので地図・・・山と高原地図シリーズ21丹沢が良い…がないとお話にならないし、若干の読図力というか、カンの鋭さのようなものが必要である。)

 たまにすれ違う人も工事関係者か釣り人で、登山者には出会わなかった。

空は青く、三日後に卒業式を控えた私の心もすっきりしており、さわやかな登り道。

一歩一歩前進して、静かなる水面の湖を目指す。奥井雅美さんの歌を聞きながら(林道歩きはつまらない側面もあるのでウォークマンを持参した)

緩やかなのぼり道は長々と続き、それは私がこれまで歩んできた私の道を象徴するかのようだった。

 水ノ木橋の分岐を分け、大棚橋で休憩の後、切通沢橋をめざし歩く。刺激に乏しい川沿いの林道歩きだが、今日はなぜか心地よく感じる。

 林道がどんづまりに差し掛かる頃、なぜかダートがアスファルト道に変わり、沢はますます細くなってゆき、雪が随所に散見される。

林道から切通峠登山道への分岐点には道標も何も無かったが、沢沿いに踏み跡がついており、地図上でもまあこれで良いだろうと思ったのでその踏み跡をたどることにした。かかるマイナーな道でも赤テープのコースサインは要所にあり、それを見逃さなければルートファインディングできる道である。

 切通峠への登りでそれまでは散見される程度だった雪が標高1000m近くなったせいか本格的に残っているようになった。杖をさしてズボズボとゆくが足の置き所を誤ればヒヤリとする。就職を目前にして大怪我したくない。奥井雅美さんを聞いていなかったら青ざめていたかもしれない。

 15センチほどの残雪を踏みしめながら切通峠に着き安堵する。そこから残雪の残る斜面を10分も平野へ向けて下ると早くも別荘地のグラウンドに出くわした。あれほど苦労して登ったが下りは10分で人里に出てしまう・・・思わず苦笑してしまった。

 富士山が大きい。別荘地を抜け、ほどなく山中湖畔の平野に着いた。山中湖沿いを旭ヶ丘まで歩き、一時間半後の新宿行き中央高速バスの乗車券を入手した。

 それにしても山中湖は広い。対岸が実に遠い。

富士山と水面に映る空ををただ、ぼーっと見ながら、湖畔にそよぐ優しい風に吹かれる。

こうしていると、心が安らいでゆく。5時間歩いてたどり着いたこともあり、なおそう思う。

耳からは私のお気に入りのまっくん(奥井雅美さん)の「風に吹かれて」が入ってくる。

優しい風に吹かれ、水面を見つめる。すさんだ心も洗われていくようである。

三日後には武道館で卒業式、4月からはサラリーマンである。

すがすがしい気分で私は湖を見ていた。

 

山中湖〜一本木へ進む

 

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