2000年6月7日(水) 費用発生14,587円 所要時間 7時間30分
106小田原・・・340浜松608・・・642西鹿島647=遠江西川(龍山)730ー757市之瀬ー830石打ー920柴(ヒラシロ遺跡)ー1010熊(かあさんの店)1050ー1105寺平ー1120黒滝ー1203県境ー1220六本松ー1300巣山ー1325阿寺の七滝1345ー1407鉛山峠ー1500三河大野1555・・・1657豊橋1725・・・浜松・静岡・沼津・熱海・・・小田原2130

人生山あり、谷あり。何があっても怒っちゃいかん。さて日々仕事に追われる世間が虚仮であるとするならば、真なるものは一つ、唯自然のみである。飾らない心、自然な素顔。あの頃のようにみんな、自然になれ。忙しくなればなるほど人の心は心を亡くし、顔から優しさが消えて行くのである。身近な自然、やわらかい緑に突然会いたくなったのか、はたまた何がなんでも愛知県突入を図ろうと思ったのか(東京在住者にとっては静岡は隣の隣の県、愛知は遠くにある県と、そのイメージがだいぶ違う)前回ツアーから帰ってきてその次の休みにいきなり私は荷物をまとめ、多摩センターの小田急線自動券売機に720円を放りこんだ。
深夜の小田原駅は異様な雰囲気に包まれている。東海道線下りホームは「ながら」を待つ人が結構多い。この駅から一部車両が自由席となるため、東京から小田原までは平日はガラ空き、オフシーズンの「ながら」は小田原が事実上の始発駅であろう。夜行列車に乗り窓枠に肘を預けぼんやりと物思いにふけるのはいいものである。仕事上の悩み、人間関係、環境からくるストレスのことは考えないようにしようと思うのだが、やはりいろいろ仕事方面のことを考えてしまう。人には処理能力というのがあって、処理能力の範囲内でできることをやるだけというスタンスで日々机に向かっていると、結果的に破綻し、誰からも信頼されなくなる。ローソンで夜の帝王とまで云われた男がいまや机に座っているだけの給料ドロボウ、堕ちる所まで堕ちたな、などと考えているうちに列車は西に向かい、いつのまにか私は眠っていた。
三時半過ぎに浜松着。遠州鉄道の始発は6時8分。二時間半も待たねばならぬ。運の良いことに駅前にロイヤルホストがあったので暇つぶしと夜食を兼ねてはいる。三日前にツアーをやったばかりなので今回は予算上の制約がある。海鮮スパゲティとコーヒーの夜食。急いで食う必要がないのでパスタを少量ずつツルツルと口に運ぶ。コーヒーを飲みながら今日の行程を確認する。
6時8分浜松発の遠州鉄道西鹿島行きの始発に乗った。普通のローカル私鉄であるがスピードは速めであると思う。西鹿島で水窪町行きのJRバスに乗り換え、前回打ちきった秋葉ダムたもとの龍山をめざす。バスは天竜川沿いをさかのぼって行き、ダム湖からさらに北へ進むと崖沿いの険路となり、ほどなく遠江西川のバス停に到着した。待合室のベンチにタッチしてから白倉峡への車道をたどる。渓谷沿いの車道をひとしきり歩くと、市之瀬の集落に入り、立派なトイレの向かいがわに登山道の入口がある。少ししんどい登りを経て、茶畑のふちを通り、民家の軒先をかすめ犬に吠えられて、山肌をトラバース気味に登って行く。今日も快晴であり、太陽光線が照りつけてかなわない。
しばらくすると林道に飛び出し、林道沿いに小さい峠を越えると舗装路に飛び出し、さらに歩くと石打の集落に飛び出した。バス通りには下りずにそのまま高巻き気味の車道が続く。谷の向こうの山々がよく見える。日陰ゾーンも結構おおく、そんなところでは吹き寄せる風が心地よい。梅雨入り前なのであたりは一面の鮮やかな緑である。なおも車道をガンガンに飛ばして行き、古い農家や廃屋を何軒か過ぎると案外あっさり柴の集落に入り、ほどなくヒラシロ遺跡に到着した。ここから熊までは4km程度である。そこからも変哲のない林道歩きが延々と続き、少々退屈に感じなくもない。さて熊の入り口から左下へ林道が分岐し、神社の裏手に入り、石段をくだると熊の集落である。コースタイム5時間20分のところを2時間40分。急いだつもりはないが、定価の半額である。
若杉荘のところを右に曲り、「かあさんの店」に入る。ここの舞茸の天ぷらは美味いと評判らしい。ウッディな作りの店内は食堂と地元の土産品屋がミックスされた業態である。早速天ざるそば(840円)を注文する。火照った体に冷たいそばは最高のご馳走である。そして舞茸の天ぷら。えもいわれぬ香りが口中に広がる。熊はいいぞと私は嬉しくなった。店を出る時黒滝方面の道を確認したら店のおばちゃんがニコニコとしながら丁寧に話してくれた。
熊を過ぎても林道歩き。寺平の集落を通ると小川沿いの道となる。チョロチョロとした流れをかたわらにする道も良い。ほどなく黒滝休憩所である。滝を見ながら冷たい沢水を腕にかけて汗を流す。ついでに顔も洗う。そこからさらに炎天下の登りは続き、小川の流れがいよいよか細くなる頃、道標に従い登山道に入る。目の前の山々の稜線の鞍部めがけて登山道が突っ込んでいる。息を乱しながら鞍部を過ぎると天竜市から引佐郡に入りまたも林道に飛び出す。鳶ノ巣山南面のトラバース道である。ほどなく道が下りに転じ、鳶ノ巣山への登山道を分け、尾根上の林道となる。近いぞ愛知県は。私の胸も高鳴る。
コブを二つばかり、左に巻いて過ぎると念願の静岡・愛知県境である。林道なのが残念だが、ついに静岡県を踏破したのだという思いがかけめぐる。割石峠・田貫湖・西里温泉・竜爪山・大山・久能尾・高根山・西向吊橋・野守の池・秋葉山・天竜川・・・オンリー ワンの思い出である。わたしは笑顔で叫んだ。
「よっしゃあ!!」
林道を下り、六本松の集落の自販機でレモンスカッシュを買い、飲みながら車道歩きを続ける。さて、あとは阿寺の七滝とやらをみて帰るだけだが、そのまえの車道歩きが結構長く感じた。桐久保から低い峠を越えて巣山に入り、養鶏場の横を通り、左折して砂利道の林道に入る。ほどなく登山道に入り,、滝への急降下にかかる。
阿寺の七滝はその名の通り滝が七段にわたって落ちている滝である。落差はあるがいかんせん水量に乏しく、サラサラと水が落ちているだけである。滝を後にし、七滝口への道を分けると鉛山峠へむけての登りである。ほどなく林道に戻り、峠を越えて睦平への下り。秋葉街道を横切り、大野目指しての最後の登りを過ぎ、坂を越えて道が下りに入り小学校の横を通る。水泳の時間らしく、児童がプールに入っている。小生の腕も大分日焼けしてしまった。
そこから集落を回りこんで下って行くと大野の町に飛び出す。あまりに暑いのでスパーという食品スーパーでアイスを買う。豊川を渡り、ほどなく三河大野の駅に到着。時間は午後三時、予想よりそうとう早い。今回は節約旅行なので新幹線は使わず、在来線を乗り継いで深夜に帰京した。