最近読んだ本

手頃な気晴らしはやはり「読書」すべて、買って読んだ書評です。

1.生を踏んで恐れず 津本 陽 1700円 幻冬舎 ○

いまブームを呼んでいる、日本最高の蔵相、高橋是清の伝記。記述が最初(蔵相になる前)と最期に重点が置かれている(爵位を捨てて選挙に立候補した話のあたりが省かれている)のがやや難だが、概して読みやすく、高橋是清入門のためにはぜひ読んでおきたい一冊。

2.連合赤軍あさま山荘事件 佐々淳行 1456円 文芸春秋 ◎

 27年前にこういうことが起きていたのか、というのが率直な感想。機動隊指揮官の著者が克明に記しており、息を呑む展開は刑事小説顔負け、最期は思わず泣いてしまいました。主義主張と社会に対するスタンスのあり方についてこれほど考えさせられる本もない。

3.ゼニの人間学 青木雄二 500円 ハルキ文庫 ○

人間と社会、金銭との関わり合いを鋭く考察した名著。書かれている本質、内容をつかむのに時間がかかるが、ときどき読み返してはハッとすることの出来る良い本である。

4.インド鉄道紀行 宮脇俊三 505円 角川文庫 ○

宮脇さんの世界の鉄道乗りまくりシリーズの中でも圧巻。行程にガイドが同行しているので、インドについての知識が知らず知らずのうちに入ってゆく。カレーについての記述も豊富かつ緻密で、読んでいて飽きない一冊。

5.213万歩の旅  斉藤政喜 1300円 小学館 ◎

東海自然歩道完全踏破を目指す人のバイブルとなる本。全行程イラスト図付き。本文も面白いが、後半盛り上げるためにいろいろな寄り道や企画めいたことを行っているが、もう少しコース内容を詳説して欲しかったとも思う。

6.ニッポン縦断歩き旅 クレイグ・マクラクラン(橋本恵 訳) 619円 小学館文庫 ○

日本語堪能なニュージーランド人著者による日本縦断徒歩旅行記。本当の日本探しに重点を置いており、旅行好きをうならせる名作。読んでいて結構面白く、最後のほうは感動すら覚えた。

7.たった一人の生還 「たか号」漂流二十七日間の闘い 佐野三治 440円 新潮文庫 ◎

ヨットレース中に遭難、そして漂流…死との凄絶な闘いが記された本。たまたま古本屋で見かけ、震えながら読みました。

8.老人と海 A・ヘミングウェイ 400円 新潮文庫 ○

人に勧められて読んだ。年老いた漁師が海に出て、数日間の死闘の末、体長30フィートのカジキマグロを仕留めるが、あまりに巨大で舟に積めず、引っ張って帰る途中、カジキマグロの肉はすべてサメに食われてしまう。これを読んで何を感じるか、どういう解釈をするかは人それぞれであるが、私は結果はどうあれ、その仕事を生業とする以上誇りをもって最後まで諦めないこと、頑張ることが重要なのだと解釈しました。

9.津軽 太宰治 420円 新潮文庫 ○

太宰治による故郷・津軽旅行記である。青森県津軽半島側、蟹田、三厩、竜飛、金木、五所川原、小泊・・・各地の魅力、風土がつづられており、読んでいて面白い。カニ、鯛、卵味噌のカヤキなど、食べ物に関する記述も多い。ありのままの、素朴な津軽旅行記。太宰文学の中では珍しい作品。

10.病院で死ぬということ 山崎章郎 466円 文春文庫 ○

書店で見て何となく気になったので購入した。内容については恐ろしい。死について深く考えさせられる本でした。

11.関東一周ぐるり山歩き 上野信弥 1600円 白山書房 ◎

関東地方をぐるりと1周、1500km踏破した著者の旅日記。県境稜線も忠実に踏破しており、名も知らない深い藪山、残雪期にしか入れない山なども通らねばならず、興奮・スリルが伝わってくる1冊。

12.ニッポン百名山よじ登り クレイグ・マクラクラン(橋本恵 訳) 619円 小学館文庫 ◎

1997年に日本百名山をわずか78日で全登頂したニュージーランド人の旅行記、ひたすらよじ登りつづける。今野氏が一生かけてやろうと思っていることをわずか78日、凄い一冊です。

13.小売業のためのマーケティング 荒川 圭基 1400円 かんき出版 ◎

小売業コンサルタントである筆者のFSPマーケティング論。これから、日本の小売業は変わる。業界関係者だけでなく、消費者の立場としても、絶対読んでおいて損のない一冊。これからは、どううまく買い物をして行くか。店側の戦略を垣間見る事が出来て参考になる。そしてマーケティングの本でありながら食品スーパーの例を盛り込むなど、書き方が平易で分かりやすい。チラシを見て店を選んで買う時代は終わった。これからは店を決めて買いに行く時代です。この夏の一押し本。

14.コインロッカー・ベイビーズ (上467円・下447円) 村上龍 講談社文庫 ○

キク、ハシ、アネモネが織り成す不思議な近未来小説。村上氏ならではの精密でドロドロしたことを刻んだ描写がなんともいえない。破壊のエネルギーが満ちてくる。

15.日露戦争(全8巻) 各巻563円 児島 攘 文春文庫 ◎

全8巻に及ぶ超大作。日本対ロシアの熾烈きわまる戦争の描写。人の命がいとも簡単に失われ、屍体と化して行く・・・日本軍は犠牲を恐れず攻撃する。ロシア軍は反撃して追い返しヴォトカ酒をあおる。読み応えある超大作です。

16.五分後の世界 村上龍 幻冬舎文庫 ○

ジョギングをしていた小田桐は、なぜかいきなり「五分後の世界」に入りこんでしまう。そこは90年代になってもなお日本軍とアメリカ軍が戦争を続ける世界だった。村上氏らしい描写がいかんなく発揮されている。

17.鈴木貫太郎  立石 優 PHP文庫  ◎

日清戦争の水雷艇長、鬼貫太郎の伝記、海軍軍人が戦争の修羅場をくぐり抜け、海軍次官・軍令部長・侍従長を歴任し、ニ・ニ六事件でテロに遭いながらも奇跡的に一命をとりとめ、終戦時の首相を務めた男の読み応えのあるヒストリーです。

18.はみ出し銀行マンの銀行消滅 横田濱夫 角川文庫 ◎

最近、横田濱夫さんの著作を読み漁っております。もと「港のみえる丘銀行」で融資の仕事を行っていた銀行マンが銀行にまつわる暴露本を出しており、これが笑えるのです。しかし、この本は、「あの頃の話」といった面白おかしい話ではなく、「港のみえる丘銀行・分倍河原支店」がF銀行に営業譲渡されてしまうストーリーの一部始終を記した実録小説の展開。横田氏の大部分の著作と違って、笑うに笑えず、人間の本質を、悪い部分を赤裸々に抉り出した展開には息を呑みます。働く事と人間について、考えさせられる内容です。

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