1999年8月14日(土) 費用発生:22,021円(食料費込み)
002八王子・・・急行アルプス81号・・・324松本342・・・405新島々410=500中の湯ー600焼岳撤退ー630中の湯=642大正池ー740上高地800=830平湯温泉840=940畳平ー1005肩の小屋ー1040乗鞍岳ー1105肩の小屋1240ー1300畳平1447=1655新島々1720・・・1749松本・・・2311八王子
山紹介及び最も楽な登り方:日本アルプスの一角を占める3000m級の山でありながら2700m地点の畳平までバス道路が通じている山。高山植物や池がちりばめられ、手軽に高山の雰囲気を味わえる。最も楽な登り方は畳平からの往復。難易度は・・・標高を考慮して2。
よりによってお盆休みのピーク時に焼岳に登って「ついでに」乗鞍岳もやろうなどという横着なプランが出来てしまった。焼岳と乗鞍岳、標高が高いのは乗鞍の方だが、なにしろ登りコースタイム1時間20分、ワンピッチで片が付くと思っていたのであるが。さて上高地・乗鞍付近のバス路線はこの時期混雑を極めるに相違無いと思われるので、体に負担のかかる夜行利用を決断し、金曜の夜、仕事がはねた後、自宅にいったん戻り用意してから再び八王子へ向かい、0時2分発の急行「アルプス81号」に乗った。変な格好で無理矢理眠ったので茅野停車で目が覚めた時左腕が痺れた。
松本電鉄に乗るのははじめてである。ふつうの地方ローカル私鉄であった。そして新島々から接続の混んだバスで中の湯に向かう。中の湯は今は釜トンネルの入口と安房峠との分岐である。さてどこかに焼岳への登山口があるはずだと探し、沢筋の入口に焼岳まで4時間の標示を見つけ、その沢に入っていったが、少し歩くとルートが急に難しくなり、いわゆる涸れ沢直登ルートに変貌した。少し疑問を感じつつ登るとこれ以上は普通の登山道のレベルを逸脱しているぞと言うオーバーハングした登りにぶつかった。思案するもどうにもならず、考える間にも大きな薮蚊に腕を数箇所刺され、嫌気がさしたので撤退を決めた。急な下りでも相当苦戦を強いられた。
案の定道をまちがえていた。入ってすぐの所で登山道が右に折れるポイントを見過ごし、そのまま沢に入ってしまったのである。1時間半のロス。気を取りなおして登るのも億劫だし大きくケチがつき今日はインケツだなと判断した私は、焼岳は断念することにした。乗鞍行きのバスまで二時間あったのでいわゆるふつうの「観光」をすることにした。
中の湯からバスに乗り釜トンネルを抜け、大正池から上高地まで歩き、大正池や梓川など見物した。登る筈だった焼岳が金屏風のように秀麗で雄雄しい。乗鞍行きのバスはなぜか平湯温泉のりかえになっており、釜トンネルを抜け、先ほど撤退した中の湯を過ぎるとバスは長い長い安房トンネルに入り、抜けたところが平湯温泉。ここで乗鞍行きに乗り換え、夜行の疲労で眠っているうちにバスはスカイラインを登っていた。悪いことに雨が降り出している。
畳平から冷たい雨に打たれながら歩く。寒い。少し岩のごろついた道から林道に出、しばらく歩いて肩の小屋。ここからまともな登りが始まる。冷たい雨が横殴りにビョウ、ビョウ、と己が体を打ち、エネルギーを奪われペースをかき乱される。3000m級だけあって甘くない。空気が薄いので呼吸がつらい。ガラ場の登りを過ぎ、3つばかりジグザグをきると、蚕玉岳(こだまだけ)からの稜線に出、さらに風が強くなる。ここは踏ん張らねばならないが体冷え、倒れてしまいそうである。黒戸尾根よりしんどいかもしれないと思った。
蚕玉岳からひと登りすると頂上小屋である。その横を通り、最後の登りをしかめっ面しながら登りきると頂上の社である。悪天なので何も見えない。冷え切った体が悲鳴を上げている。さっさと肩の小屋へのもどりにかかる。雨混じりの強風は「死ね〜!消えろ〜!」といわんばかりに云わんばかりに吹きつけ、雨が染み込んだシャツは肌に張り付き体温を激しく奪う。無我夢中で肩の小屋まで下り、小屋の中にフラフラの体で入りこんだ。冷えた体を何とかすべく、600円のかけうどんを注文する。あたたかいうどんのスープをすすり、心の底からうまいと感じた。
さらに400円のコーヒーを飲む。こんな美味いコーヒーも飲んだことが無い。生きかえる心境である。ストーブの横にしがみついて大休止する。きのうまで炎暑のオフィスで働いていたのが嘘のようである。今回は悪天候とギリギリの状態登ったこともあり、感慨があまりないが、とりあえず、登頂のポーズ、決めっ。
持ちなおした後、気力を振り絞りながら降りしきる冷雨の中を畳平へ20分ほどで戻る。バスの時刻まで間があったので、また私は高いおでんとぜんざいを食べてしまった。帰りは新島々行きのバス。乗鞍エコーラインをうねりながら下ってゆく。もちろん私は眠っていた。