18 那須岳 1917m

1994年10月23日《日》

(山紹介及びもっとも楽な登り方。)栃木県の山は実力派で手ごわいのが多く、いやだ。この山は北関東の手軽な山とは考えない方がよい。楽な登り方は、やはりロープウェイ利用です。難易度1.

613大宮・・・828黒磯835=955那須岳山麓1000−1045峰の茶屋ー1205三本槍岳ー1310朝日岳ー1345峰の茶屋ー1417那須岳山麓1430=1535黒磯・・・大宮

 冬が来る前に今年の登り納めにどこか適当なところをアタックしてみようと思い、那須岳にねらいをつける。ロープウェーを使えば楽勝であり、最高峰の三本槍岳を登れば登山の範疇には入るだろうと思ったのだ。

大宮発6時13分の黒磯行きに乗る。東北線の車窓は中央本線のそれに比べると格段に面白くない。中央本線は高尾を過ぎるとさあ始まるぞといった感じでいつもゾクゾクするのに対して東北線は変わりばえのしない田園風景が続き、退屈である。黒磯からのバスは満員であった。途中の那須湯本からもけっこう人を乗せ、大混雑となった。10時すこし前に山麓駅に到着したが全ての客が料金払いを済ませるのに10分以上かかる。さあ行くぞ、とロープウェー乗り場に行くと、強風のため運行中止の看板が立てられていた。

 やむを得ず徒歩で強行することにし、山麓から荒涼とした遊歩道を進む。樹木がないので一キロ先の峰の茶屋がはっきり見える。風が相当強く、ビュービュー吹きつけられて体感温度が下がる。結構歩く人も多い。強風に悩まされながら峰の茶屋ーといってもただの壊れかけた小屋ーに着いた。最高峰の三本槍岳めざし北に進む。尾根上なので風がますます強く吹きつけてくる。まるで大きな風の鞭で殴られているようで時々からだがよろける。ミニ八ヶ岳みたいな感じのかかるところで滑落したら大恥である。それでも道は概ね岩峰を巻き気味につけられているので辛うじて直撃はさけられていた。

 朝日岳分岐を見送り、熊見曽根から清水平目指して進む。ここが最大の難所であった。ルートが馬の背を思わせるやせ尾根を忠実にたどっておりいまだかつて経験したことのないすさまじい烈風が襲いかかる。

 なんでこうなったんだろう。

楽勝だと信じてたのに。体感温度が低下し、手はかじかみ靴紐を結びなおすこともままならぬ。強風にあおられながら清水平を過ぎる。ここからは岩のゴロゴロした道から、ぬかるみの多いなだらかな道となる。茶臼岳は噴煙を上げ、朝日岳はピッと立っている。案外あっさり三本槍の頂上に到着。風が強いので早々と退散する。清水平まで戻り烈風吹きすさぶ中の食事にしたが、モノを食べている感じがしない。

 熊見曽根までのやせ尾根で手は完全にかじかみ、烈風をしこたま受けし顔面は麻痺寸前。こんなはずじゃなかったと思いつつ朝日岳をピストンするも体力は限界である。そして地獄の烈風にさらされながら峰の茶屋への戻りにかかる。自然はいつも私に微笑んでくれるわけではないということは承知しているのだが今日の風はあまりにもひどく私を打ちすえる。ほうほうのていで峰の茶屋着。この時点で茶臼岳は断念し、速攻で山麓へと下山する。

 顔も手も思うように動かせず、自分の体が自分でなくなったかのようだ。泣きたくなるような下山である。当てにしていたロープウェーが駄目だったのがケチのつきはじめだったのだ・・・フラフラになりながら一歩一歩前進し、山麓駅にたどりつき、停まっていたバスにころがりこんだ。手と顔がガチガチだ・・・気持ち、悪い。

 敗軍の将のようなさまでバスに揺られ、何が何だかわからぬまま黒磯着。耳鳴りがして脱力感を覚える。まあ、こんな日もあるわなと言うことで自分を納得させ、重い足取りで上野行きの列車に乗る。

小山のあたりで日が暮れ、左手に双耳峰の筑波山が少しの間だけ見え、闇に消えた。

19・20 八幡平・岩手山へ

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