第13区 久能尾→家山

2000年5月8・9日(月・火) 

所要時間:9時間43分  費用発生 9,340円

1758大塚・・・1809多摩センタ・・・1928小田原・・・2011熱海・・・2120静岡2132・・・久能尾2225ー清笹峠2355ー003夜食地点033ー133舟が久保233ー322蔵田ー420高根山ー532西向吊橋ー603笑い仏ー646上河内ー808家山825・・・855金谷858・・・熱海1100・・・小田原1130・・・多摩センター1240=1255大塚橋

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東海自然歩道を東から歩く者にとって序盤戦の一つの区切りは大井川である。小生も7年かかって大井川まであと1日行程というところまできたが、前回打ちきった久能尾から大井川鉄道の家山駅まではコースタイムにして11時間も歩かねばならない。ニッチマップのコースタイムは「見積もりの定価」のようなもので実態は7掛け、ある程度の「出精値引」は織り込んでも良いが、値引きを、もといコースタイムを基準にしないわけにはいかないので、この区間のプラン作成には苦心した。朝四時半に起きて小田急の始発で出かけてもまる1日かかるスケジュールが出来あがったが、当初実行予定日の5月1日は風邪をひいて倒れたためご破算になった。

できなかった計画を一週間スライドさせて5月8日にやろうと考え、目覚ましを2つ朝四時にセットしたが、作動しなかったか意識が戻らなかったのか、ともかく起きられなかった。これで計画は滅茶苦茶になってしまった。練り直すべくバス時刻表をながめたとき、頭の中に電球が灯った。さて、夕刻6時すこしまえに自宅を出て、多摩モノレールで多摩センタに出、勤め帰りのサラリーマンで混む小田急で町田に出てロマンスカー「ホームウェイ1号」で小田原、ここでJRに乗り換えて、熱海乗り換えで21時20分、静岡に到着。駅前のバスターミナルから久能尾行きの最終が21時32分に出る。ローカルバスにしてはずいぶん遅い最終だが、この時刻が絶妙なのである。

前回は眠りこけながら静岡までバスに揺られ、今回は闇の中なのでどこをどう走ってくれたのかは分からずじまいであった。22時25分、久能尾着。銘茶販売店に見覚えがある。ここから蔵田までの16Kmは車道歩きが延々と続く。ここのところ好天つづきなので昼間にかんかん照りの車道なぞ歩きたくないと考えたか、突如ナイトハイクを思いついてしまった。だが静岡県の山奥は山手線一周とは違い、街灯がほとんどなく、懐中電灯無しには歩けない。しいんと静まった田舎の集落を深夜、峠へ向けて黙々と歩く。風流ではないか。

恐怖心の方が先に立ち、警戒しながら歩いているので精神的にはこたえたかもしれない。真っ暗闇の中を懐中電灯てらして歩きつづける。数回犬に吠えられ怖さを感じる。職場の上司に叱責恫喝されるのとどちらが怖いだろうかなどということを考えてしまう。清笹峠への道は500mごとに表示があるのではげみになる。大いちょう分岐を過ぎると集落から峠へ向けての山肌をからみつく登りである。もっとも笹子旧道ほどグランドではなく、チョイチョイと巻いているうちに清笹峠にたどり着いた。山中の切り通しのような変哲のない峠である。

峠からすこし先の路傍で夜食タイムにする。静岡で買った幕の内弁当である。720円と高いだけあってうまいが、真っ暗の中で食したので味がしない気もする。静岡の駅弁とあってワサビ漬けが入っていた。あまりがつがつ歩くと夜が明ける前に高根山に早く着きすぎるのでゆっくり休もうと思ったが、峠近くなので体が動いていないと寒い。30分で切り上げ、先へ歩みを進める。ほどなく県道分岐の標識があり、ここは左の「蔵田・藤枝」方面に進む。蔵田までは7km。本気を出すまでもないのでゆっくりめのペースで車道を下る。

舟が久保は集落の上を車道がかすめているだけですぐ人気のない車道に戻る。少し先の車道脇に寝転ぶことの出来そうなスペースがあったので横になり一時間ばかし休息する。空を眺めれば満点の星。暇つぶしにラジオ番組を聴く。休息後、2時半からふたたび行動開始。しずしずと蔵田めざしゆるい下りの道を行く。ほどなく立派なトイレと駐車場が現れた。宇嶺の滝(うとうげのたき)が近いのであろう。もっとも真っ暗闇なので滝の入口がどこかは良く分からなかった。午前三時を回りラジオは演歌ばかり流し、聞きつつさらにあるくとひょっこり蔵田の集落に飛び出す。久々に見る街灯が明るい。しかしすぐに高根山神社の入口林道に入り、ふたたび暗闇の中の登りとなる。懐中電灯で少し先を照らし、とぼとぼと歩く。

マルガシ分岐を過ぎると貯水タンクの脇に高根山への登山道がある。午前四時を回りすこし夜が明けかけてきた。階段状の登り道はこたえる。しかし20分程度で急登は終わり、高根山頂に着いた。おにぎりをパクついたあと、明け方の登山道を進み行く。東の空が明けてきた。早暁の光が木々の間から射しこんできて心地よい。高根山をひとしきり下りきると尾根上の歩き。ほどなく未舗装の荒れた林道に飛び出す。朝霧が眼下の谷を埋めている。

ラジオの演歌放送が早朝向け番組に変わる頃、林道の脇から小道に入り、そのまま西向の吊橋で林道をまたぐ。そこから笑い仏へ向けての登り返しが厳しかったが、距離的にはどうということもなく、今日の前半は不真面目に歩いたせいもあり、そんなに疲れは覚えない。ほどなく笑い仏。小さな地蔵が1体あるだけの変哲のない箇所である。ここからは上河内へむけての下りである。淡々と朝の光を浴びながら下る。山をこんな時間に下りるのも最近では記憶にない。ほどなく茶畑の一番上に飛び出す。そこから茶畑の斜面を下って下って、さらに下って、耳成川の細い流れにかかる橋を渡ると上河内。駿遠橋まで7km。ようやく本気を出す時が来た。

後のない平地歩きになればこっちのもの。好みの音楽をウォークマンで聴きながらズンズン前進を重ね、小田温泉分岐を過ぎ、しだいに耳成川を高巻くようになり、なおもどんどん進む。ヘルメットにスカートの女子高生が原付に乗り朝の林道をかっ飛んで行く。ほどなく阿生南寺からの道を合わせ、県道に出た。目の前にある大河は大井川である。やっとここまで来たとの思いに駆られる。

駿遠橋で大井川を渡る。水量は少ない。ただ川幅がやたら広い。橋を渡り終え、家山の街を歩き、8時すぎに大井川鉄道の家山駅にたどり着いた。夜通し歩きつづけたので眠い。大井川鉄道・JR・小田急の車中、当然私は眠りこけていた。自宅には午後一時頃帰着した。

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