25 武尊山(ほたかやま):2158m

1999年6月5日(土):費用発生 10,942円(食事代込み)

山紹介及び最も楽な登り方〜上州の名峰として有名。険しい箇所が多いせいか、信仰の山でもある。最高峰の沖武尊山の他にも、数多い2000m急の岩峰的ピークを擁する。沖武尊山だけを狙うのであれば、上の原山の家からのコースが良いと思われる。いずれにしろ険しい山なので、標高の割には簡単に頂上に立たせてくれない。難易度3プラス。(残雪期は4プラス)

636大宮・・・700高崎713・・・816水上822=850武尊橋ー952武尊神社ー1023剣が峰道分岐ー1115武尊山避難小屋1130ー1257沖武尊1315ー1432武尊山避難小屋1442ー1515剣が峰道分岐ー1545武尊神社ー1633武尊橋1647=1715水上1728・・・1820新前橋・・・高崎・・・八王子

1999年、ノストラダムス大予言による世界破滅の7月前に、最後の(?)山行を企画し、嫌な山とのイメージが強い皇海山をやろうと思ったが、念のため利根村役場に電話すると栗原川林道は土砂崩れの復旧がまだ、との事なので代役を探し、近くの武尊山をやってみようと、前日になって急遽ターゲットを変更した。

久しぶりの「本気を出さねばならない」山行なので前の晩は興奮か、寝過ごしを恐れたか、あまり眠れず、朝四時半に自宅を出てコンビニで菓子パンやペットボトルを買い込み、京王線の始発に乗り、南武、武蔵野、埼京線を使い朝六時少し前に大宮に着いた。大宮のみどりの窓口で、スーパーホリデーパスと高崎までの特急券を買い、ついでに朝飯用の弁当を調達してから大宮発6時36分発の「あさひ301号」新潟行に乗りこんだが車内は満員で座れず、弁当は高崎からの在来線の車中で食べた。

上牧を過ぎると雪の残る谷川岳が見える。まだ残っていたか。めざす武尊山は谷川より背が高い。ほどなくトンネルを過ぎ、水上の温泉街に入り、水上到着。ここで湯の小屋行きのバスに乗る。バスは山奥に分け入り、藤原湖のふちのいくつもの巻き出しをくぐり、ほどなく武尊橋に着いた。

まずはここから裏見の滝(武尊神社)まで6.3kmの林道歩き。梅雨どきなのに天気は良く、振り返るごとに谷川方面が良く見える。車道がつづら折りを繰り返すと宝台樹キャンプ場。暑いのを我慢してオートキャンプ設備をながめつつ歩みを進めると裏見の滝駐車場に飛び出し、古色蒼然たる武尊神社の横に出る。ここからはダートの林道歩きである。ゲートの横をヒョイと通り、なおも歩みを進める。

暑い中の焼かれる林道歩きはこたえる。30分も歩くと道が狭まり枝沢を1つ渡ると武尊山避難小屋への分岐点である。といっても道標は朽ち果て、赤テープのサインがあるのみで、勘の良い人は気付くだろうが、と思わせる。沢沿いを少し歩き、、その沢を横切ってからはかなり急な登りを重ねる。特に困ったのは1ヶ所、荒れ谷を倒木が埋めている個所であった。慎重にえぐれた谷の上の木につかまりながら通り、なおも木の根にすがり、わずかなセルのようなスペースに自分の足をドラッグ&ドロップさせてゆく。けっこう苦しい道であったが、今回も高度計付き時計を持参しているので励みになる。

標高1500mを超すとあっさり上の原からの道と合流し尾根上をわずかに進むと武尊山避難小屋降り口。避難小屋は眼下の沢沿いにかまぼこ屋根が見えているが、余計な上り下りをしたくないので小屋には立ち寄らず、道標のそばに腰掛け早めの昼食を済ませてから、また急な登りに挑む。

そこからも急坂のどんどん現れるひどい道で、随所に雪解け後のドロドロが残っていて始末が悪い。標高1700mを過ぎると本当に残雪がどんどん現れるようになり、雪上を登らねばならぬ個所もあったりして緊張が走る。滑ったらえらいことになりかねない。焦らず慎重に一歩一歩雪の上を登り、全く気の抜けない行路が続く。

標高1800mを過ぎるといよいよ最大の難所、岩場のロープ登りである。一つ目はロープは補助程度の三点支持でクリアできたが、二つ目は切り立った岩の上を雪解け水がチロチロと流れており始末が悪かった。こういう時決して後ろを振り返ってはならない。その後はかなり急な雪の斜面の直登り。足だけでは不安なので手もついて、四つんばいに近い格好で登る。炎暑の中の雪地獄、風流ではないか。

そのあと3つ目の切り立った岩場には長い鎖がかけられていた。もう勝手にしやがれと呪いの言葉を吐きつつ登りきるとようやくハイマツとシャクナゲの稜線に飛び出す。「行者転び」の道標を過ぎるとガレ場の登り。剣が峰からの稜線が徐々に間近になり、ようやく沖武尊頂上にたどり着いた。

帰りのことを考えると素直に喜べないが、抜群の展望と達成感である程度ゾクゾクする。展望はさすがに雄大で、個性的な武尊山のピークの展望の他に、至仏山・燧ケ岳がはっきり見える。一番凄いと思ったのは谷川連峰〜朝日岳〜巻機山と続く上信越国境の山々であった。いずれの山もまだ雪を残しており、上信越の山はこんなに立派なのかと思わせる。気の重い下山があるので早々と下る。

下りはこの世の地獄だった。ドロドロの下り、3ヶ所の鎖場・ロープの下りも相当苦心させられたが、一番てこずったのが雪の斜面の下りであった。まともに下ると転落の恐れがあるため、後ろ向きになったり、四つん這いになったり、尻セードを試みたりするが上手くいかず、冷や汗シーンの連続であった。これで動揺したか、そのあとの急な下りでも自分のペースが全く掴めず、登りとほぼ同じ時間をかけて避難小屋に戻りついた時は心底ほっとした。

ここでパンを食べ、下の林道めがけどんどん下る。気の抜けない急な下りが多いが鬼気迫る形相で高度を下げて行き、どうにか林道に戻りつき、その余勢を駆って林道を下りぬけ、武尊神社・キャンプ場と順調に通過し、行きには見つけられなかったショートカットの山道を下り、あっさり武尊橋に戻り、タイミング良く、バスに乗りこんだ。

帰途、新前橋で降りて赤まる市場で食料を買い、八高線のディーゼルカーの中で祝宴を張った。そして高麗川からの電車からは完全に眠りこけ、高麗川の次が八王子であった。

26 奥白根山へ

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