1 富士山 

1991年7月22日(日)

中央道三鷹=富士山五合目2210−六合目ー本八合ー245吉田口頂上420−お鉢巡りー545頂上ー900五合目

 富士山には過去二度挑戦したものの、いずれも疲労や濃霧のため頂上まで行けなかった。三度目の正直を、ということで高校二年の夏に富士登山を実行するべくプランを練った。

 夕方、京王線仙川駅から三鷹駅行きのバスに乗り、中原小学校で下車し、雑木林と高速の土手の間の道を少し東へ進むと階段が現れ、それを登りドアをくぐるとそこが「中央道三鷹」の高速バス停である。

 ほどなく予約しておいた富士山五合目行きの高速バスが来て乗り込む。車内は登山客で満員であった。バスは闇の中央道をひた走り、さしたる渋滞もなく河口湖インターから富士スバルラインに入る。暗闇の中を延々と登るにつれ、山の気配が濃くなる。午後十時すこしまえに標高2400mの五合目に着いた。

 レストハウスで一憩したのち懐中電灯の明かりを頼りに登りを開始する。日曜の夜中ということもあり登山客はそれほど多くはない。六合目からは本格的なジグザグ状の登りになり、山小屋から山小屋へ、連なる明かりを励みにして登ってゆく。風が徐々に強くなってきたが、足取りは快調で午前一時ころ本八合の小屋に着いた。ここから吉田口頂上までは一時間であるが、ここからが予想外に長く、辛かった。まだ着かないのかと自問自答を繰り返し、やっとの思いで吉田口の頂上にたどり着いた。風が強く、寒い。

 頂上の山小屋で具はネギとワカメだけの800円のうどんを食べる。ご来光まであと一時間以上ある。待つしかない。それにしても寒い。眠ったら凍死してしまうのではないかと思わせるくらい寒い。自販機で400円の缶コーヒーを買う。下から持ってきたポテトチップスの袋が気圧差の影響でパンパンに膨らんでいる。

 ようやく夜明けがやってきた。日の出を拝んでからお鉢巡りに出発する。早朝で霧はかかっておらず景色をさえぎるものは何もない。富士五湖の大パノラマに見とれる。南側は低山が延々と連なり、山水画のような風景であった。

 測候所のドームの前を通り剣ヶ峰へたどりついた。3776m、日本の最高地点である。やったぞ、と思う。火口を眺めつつ吉田口の頂上に戻り、早々と下りにかかる。足任せに高度を下げあっという間に本八合着。ここから下山道が分岐する。電光型の道が延々とはるか下まで続いており、登山者が歩いているのが目に入る。なんだか地獄へ向かう亡者の列を想起させて面白いが下るほうは大変である。本八合から一時間半も同じような道を歩くとかたわらに高山植物が目に付くようになり、しばらく歩くと六合目に着いた。ここからゆっくりと歩き、五合目には九時頃帰着した。

 やはり下から見るとすごい山である。赤褐色の山体が浮世離れしている。バスの時間までかなり間があるので土産物店を見たりして時間をつぶす。素晴らしい山であったがすごい山でもあった。もう一度登ってみたいとはあまり思わない。登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿。言い得て妙である。

 

2 丹沢山へ

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