富士山を富士吉田から登る

2008年6月30日〜7月1日(月・火)  所要時間14時間50分 費用発生:6,500円

2008八王子・・・2036大月2046・・・2130富士吉田2135−2200浅間神社ー2254中の茶屋−2345馬返しー043三合目051−135中宮−219六合目−335七合目花小屋345−448八合目太子館500−610本八合トモエ館628−708九合目の鳥居−758吉田口頂上久須志神社818−908本八合富士山ホテル928−1018八合目太子館ー1118七合目花小屋−1152六合目−1225スバルライン五合目1300=1442中央道日野

富士山の山開きは7月1日である。幸い今年は好天の予報が出ていたので、やってみようと考えプランを練った。しかし、富士山は過去5回も登っているので、スバルライン五合目からのピストンでは芸がないと考えたのか、麓の富士吉田駅から登ろうと思い立った。標高差3000メートル近くを稼がねばならないあまりにも無謀な計画だが、疲れたら六合目で切り上げてスバルライン五合目に出るのもありかなと考える。浅間神社から六合目までの区間を歩けば、都内の自宅と富士山頂が歩いた線でつながるのである。

さて、6月30日、会社がはねて、オフィスの奥に隠しておいたザックを取り出し八王子駅から特急「かいじ119号」で大月へ出て、大月から富士急行に乗り換える。車内でまどろんだり、夕食の弁当を食べたりして過ごし、21時半頃富士吉田駅に到着。駅前の自販機でペットボトル飲料を仕入れた後、駅前の通りを東方向に少し歩いて、金鳥居で右折。ここから直線道路を南進。ゆるい登り坂である。突き当りを右折してしばらく進むと浅間神社。境内を進み、東海自然歩道のとき歩いた線をつなげる。きょうは開山の前夜祭なので、この時間でも本殿の門が開いている。神社奥から細い車道に出て、見当をつけて歩くと幅の広い道路に出た。おそらくこれが吉田口登山道だろう。

真っ暗闇の車道を懐中電灯で照らしつつ30分ほど歩くと、東富士五湖道路の下をくぐる。そして北麓公園への道を分けてなお進むと、中の茶屋に到着。幅広い車道はここで終わる。馬返しへは直進する感じで正面のダートっぽい道を進む。ほどなく質の悪い舗装路となったが、やや傾斜がきつくなったような感じを受けた。そのあと車道はいくつかのカーブを切りつつ進んで行く。正面には山小屋の明かりがほの見える。ほどなく馬返し。目の前に車止めがある。ここまで2時間足らず。オーバーペースかなとも思う。

馬返しから登山道に入るが、幅が広く、段差はあるものの他の地区の登山道と比べたら段違いの歩きよさである。さすが富士山と思う。これなら深夜に歩いてもまあ大丈夫だ。登山道に入ってすぐに一合目の鈴原神社を通過。緩い登りの登山道を淡々と歩き、二合目の御室浅間神社を通過。ここは右に折れる感じ。枯れ沢を御室浅間橋なる橋で渡り、なお登ってゆく。このあたりから登山道の段差幅がきつくなってきた。馬返しから一時間足らずで三合目に到着。昔の山小屋の廃屋があり、そのかたわらにイスやテーブルがある。腹もすいたのでここでレーズンロールの夕食。あたりは真っ暗闇で懐中電灯がないと自分の掌も見えない。

さほど苦労せずに四合目の大黒天。馬返しから五合目のあたりまでは富士吉田市による解説版が随所にあって応接に暇がないくらい。樹間越しに見える富士吉田の街の明かりを見ながら、上がってきたなあと思う。大黒天からしばらく歩いて四号五勺の御座石。左手にそれらしき岩がある。なおも闇の中を進んでゆくと中宮という案内表示を通り、ここから使われなくなったかつての山小屋を何軒か通過。そして滝沢林道に出る。ここまで来ると五合目は近い。カーブを一つ切ってから再び登山道に入り、もう一度林道に出て佐藤小屋前を通過、そのすぐ上が星観荘。7合目まで59分という案内がある。なぜ59分なのだろうか。

星観荘から六合目までが意外と長かった印象を受けた。六角堂の前を通って、なお進んで、六合目の安全指導センターがだんだん近くなっていって、2時19分、六合目に到着。富士吉田駅から5時間足らずであった。さてどうするか。今から五合目へ逃げても、バスの始発まで待ちぼうけは必定。となると富士山を行ける所まで登ろうかと考えた。そこそこ強い風が吹き付ける中、七合目へのジグザグ道を静々と歩く。ここまでの歩行でそれなりに疲れているはずなので、勢いをセーブして歩いた。それにしても寒い。7月頭の富士登山は初鰹のようなもので、本当に登り易いのは7月下旬梅雨が明けてからだと思う。寒風が吹き付け頭が冷える。六合目から一時間以上かかって七合目の花小屋。ここでどら焼き4つの行動食。

寒いので予備のTシャツをターバンのように頭に巻く。花小屋からは岩場の登り。寒い中の登り、ひとさし指がかじかんでしまったのでマッサージしたり腹に押し付けて温めたりしながら進む。どうもパソコン仕事で人差し指を酷使していると、血行が悪くなるためかかじかみ易くなるようだ。岩ののぼりを慎重に進む。一時間ほどで夜明け。去年の夏と同じ標高3000mあたりでご来光を見る。いつ見ても神々しい眺めである。疲れてきたので八合目太子館で引き返そうかなとも思ったが、太子館に着くやいなやNHKと山梨放送の取材を受けた。インタビューでは疲れていたので要領を得ない返事しかできなかったが、後日TBSのニュースサイトを見たら登っている小生が写っていた。これで気を持ち直したのか、本八合までは粘ろうと思いなおして前進。

fujihinode2008.jpg (30540 バイト)富士山山開きのご来光(八合目から)

太子館の次の蓬莱館からジグザグの比較的マシな道、しかし3000mを越えているので高山病を恐れ、慎重に歩いた。白雲荘、元祖室と過ぎてなお登り続ける。頭上には富士山ホテル上の旗が翩翻とひるがえり、その上のトモエ館の側壁の「トモエ」の表示が胸を打つ。午前六時過ぎ、荒い息を弾ませ本八合のトモエ館。七合目の始まりから八合目の終わりまで2時間以上要するのだからグレイトな山だ。トモエ館で山菜うどん(700円)の朝食。まあまあの味だった。今後に備えて酸素(1500円)を買い、スーッと吸い込んでから最後の登りに挑む。トモエ館から20分ほど上がって最後の山小屋、八合五勺の御来光館を通過。九合目の鳥居や吉田口頂上の石垣も見えるが、なかなか距離が縮まらない。

九合目の鳥居のあたりで下半身の疲労が限界に来た。20歩も歩くとそこから足が進まない。10時間ぶっ続けで登ってきてついに足に来たかと思う。そこからは20歩足を動かす→20秒休むのカタツムリペースで進む。過去5回の経験則ではこのあたりは辛いところで気合いと根性で堪えるしかない区間だというのは分かっている。だんだん頂上の鳥居が大きくなってきて、狛犬が見えて、ゆっくりと着実に歩を進めて、8時すこしまえに吉田口頂上にたどりついた。頂上の山小屋でラーメンを食おうと思っていたが、山開き初日のためか閉まっていた。これ以上は登り坂はしんどいと思ったので、お鉢めぐりは断念して火口越しに剣が峰を望んで退散。

吉田口の下山は別ルートなのだが、今回は下山道の除雪がまだのため、登山道をそのまま下らねばならない。登りは気合いと体力だが下りは技術。位置のエネルギーを利用しつつ静々と足を置いてゆく。50分ほどかかって本八合へ戻ってきた。富士山ホテルでラーメン(750円)の食事。これはハズレであった。スープが醤油をお湯に溶かしたような味。北アルプス太郎平小屋とのそれとは雲泥の差。既に行動開始から12時間が過ぎ、つかれ切っている状況だがとにかく足を置くことだけに集中する。静々と下って10時過ぎに八合目太子館までもどってきた。ここからの岩場、下りに取るのは初めてで緊張したが、そこは長年つちかった技術で大過なくくだることができた。いくつもの山小屋を通って11時20分頃花小屋まで戻ってきた。

あとは六合目までの幅の広いジグザグ道を適当に歩けばよかった。正午すこしまえに六合目に戻ってきて、ひと下りして泉が滝。ここからはわずかに登り勾配なので足が動かない。観光客混じりの中必死の表情で前進したが恥ずかしかった。歩いてはたち止まってを繰り返して、やっとの思いでスバルライン五合目に到着。13時の新宿行き高速バスで退散。泥のように眠りこけながら私は家路に着いた。

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