2004年7月26−27日 〈月・火) 行動時間:8時間34分〈通算) 費用発生:24,170円
040八王子・・・531神城−600テレキャビン遠見駅730・・・アルプス平・・・755地蔵の頭−907中遠見915−1013西遠見1030−1146五竜山荘(泊)426−513五竜岳523−609五竜山荘628−722西遠見726−813中遠見818−909地蔵の頭・・・アルプス平・・・934テレキャビン遠見駅945=950神城1001・・・松本1147・・・上諏訪1233・・・八王子1410
夜九時過ぎ、仕事がはねていったん自宅に帰って、ぱぱっと夕食をすませて登山の荷造りにかかる。何十回もやっているので手慣れたものだが、今回はシビアな山なので忘れ物をしたときのリスクは大きい。着替えなどでいつもより膨れたリュックを背負い夜十一時過ぎ旅に出た。三時間ぶりに八王子に戻ってきて、駅前の深夜スーパーで食料を調達し、0時40分発夜行快速「ムーンライト信州」に乗り込んだ。
今回は五竜岳である。北アルプスの百名山の中でも比較的交通の便が良いのでやることにした。日曜の夜のためかムーンライト信州の車内は半分程度の乗車率であった。本を読んでいるうちに大月に停車。眠くなったのでしばしまどろむ。気がついたら松本であった。もう一眠りして豊科、穂高を過ぎ、信濃大町に停車。アルペンルート方面の登山客がどっと降りる。信濃大町からの大糸線は高原の爽やかさがあり、私の好きな路線である。信濃木崎を過ぎると左に木崎湖が現れる。山と森に包まれた山中の湖。湖岸を快速列車は突っ走る。稲尾を通過、海ノ口を通過。
ため息をつきながら見入っているうちに、簗場を通過。こんどは左に青木湖が現れる。青木湖が過ぎると列車は低い峠を越えて、姫川の流域に入る。5時31分、神城で下車。ここからテレキャビンの遠見駅まで歩く。テレキャビンの始発は7時半なので時間は有り余っている。サンダル履きのまま、てぺてぺと別荘地の中を歩く。ほどなくエスカルプラザの建つとおみ駅に到着。ベンチに腰掛け、コンビニ弁当の朝食。
7時30分のテレキャビンの始発に乗る。四人乗りのゴンドラに乗りこむ。駅を過ぎるやゴンドラはグンと加速し、斜面の上をかなりのスピードで駆け上がって行く。あっという間に標高1500mのアルプス平に到着。ここからリフトに乗り継いで地蔵の頭を目指す。こちらは歩くぐらいの速度でゲレンデの中を上がって行く。ほどなく終点に着き、歩きはじめる。ひと登りして鐘のある地蔵の頭のピーク。きょうは曇っており展望はきかないが、汗をしぼられないのでかえって歩きやすい。小遠見山まではトレッキングコースで、木の階段混じりの尾根歩きであった。見返り坂、一の背稜、ニの背稜を通過して、小遠見の分岐を通過。小遠見のピークは巻き道ではしょる。
少し下って、また木の階段の連発で高度をかせぐ。夜行明けなので調子があまりよくない。夏休み前の仕事の追いこみで忙殺されていたのが災いしたのか、このところの体重増の影響か、もう若くないからなのか、中遠見の登りが苦しく感じた。ほどなく慰霊碑の建つ中遠見山のピークに達した。スポーツドリンクを飲んで一休み。まだまだ先は長い。ひとしきり下って鞍部からはだらだらとした登りが続く。道の様相はザレが多少入っていたり、時折ぬかるみが現れたりして歩き良いとは言えない。しかもやせ気味の尾根道なので道のまぎわまで崩壊地があったりして緊張する。MDウォークマンをあてて、気分転換剤のKOTOKOさんを聞きながら、たんたんとゆるい登りをしのいだ。
斜面をゆるやかに登って行くと大遠見の標識に出た。なお前進し、ゆるい登りや平坦な登り、ときおり現れる木の階段を淡々とこなしていくと、池が現れ、西遠見に着いた。ここで行動食。バニラクリームパンとホットケーキとカレーデニッシュを水で流しこみ、今後に備えてウイダーインゼリーもひとつ吸っておく。MDウォークマンを取り替えてさらに進むと、ピークをひとつ越えて鞍部まで少し下って、そこから急な坂が連続するしんどい道となった。ここでパラパラと雨が落ちてきた。傘をさして前進する。
通り雨が過ぎると目の前に稜線と霧に包まれた五竜岳が現れた。鞍部に建っているのはきょう泊まる五竜山荘である。さらに登って行くと鎖場が現れたが、足のスタンスと手のホールドに気をつけて三点支持ベースで登れたのでクサリは使わずに済んだ。ここで高度計付き腕時計の表示がいきなり消えてしまうアクシデントが発生。高度の稼ぎ具合が測れなくなったのは痛い。なんてこったいと心中しょんぼりしながら登って行き、クサリ場をさらにふたつ越えると、いつのまにか五竜山荘より高度を上げていて、さらに登って、白岳のピークを通過。唐松方面からの尾根道を合わせてひと下りすると五竜山荘の前に出た。中遠見から74分MD2枚分の所要時間であった。
時刻は正午すこしまえ、眼前の五竜岳をいつやろうか迷ったが、霧の中登るよりはあす朝の好天を期待した方がいいし、午後になると雷の危険もあるし、小生も行動四時間の割にへばっているので、きょうはこれでおしまいにすることにして、五竜山荘に入り宿泊手続き。一泊二食で8,600円。正午前に一日の行動がすべて終わるなどというのは日頃の仕事漬けの毎日からみれば仰天である。ともあれ指示された「くろゆりの間」の上段へハシゴで登り一休み。食堂でうどん(600円)を食べた後は部屋で本をよみながらゴロゴロして過ごした。
5時からの夕食はカレーライス(おかわり自由)、味噌汁、フルーツポンチ。このカレーがうまかった。味噌汁も大根や山菜が入っておりうまかった。ワインの小瓶(600円)を飲みながらカレーを三皿食べた。いい気分になって部屋に戻り、睡眠薬代わりの頭痛薬を飲んで横になったが、枕が違うせいか、十時に目が覚めてしまい、そこからは眠れなかった。午前0時、胃の中のカレーは消化され空腹を覚えたので暗闇の中ウイダーインゼリーを2つ吸いこむも、眠れぬまま午前3時となり、縦走登山者がバタバタし出す。朝食は5時から7時までの間なので、朝飯前に五竜を往復しようと考え、菓子パンひとつをほおばったあと、まだ薄暗い4時26分、空身でアタックに出発した。
高所歩行で寝不足なので体調はよろしくない。MDウォークマンを耳に当ててKOTOKOさんを聴きながら勢いで登って行く。しばらくは富山県側のトラバース気味の登りが続くが、岩峰を巻くあたりでは岩の上にうまくステップを定めて登る所もあった。ほどなく頂上直下、岩の城砦の中をコースサインを頼りに登る。三点支持ベースで対応できたが、腕力をつかってまたぎ登るところもあり油断できなかった。1箇所だけクサリもあって、ここのはつかまらなくてはならなかった。ようやく鹿島槍方面との分岐に出た。そこからは稜線上を50mほど歩けば良かった。5時13分、頂上に到着。登頂のポーズ決めっ!
展望はなかなかのものであった。南側は八峰キレット方面へいくつものピークが連なりその先には鹿島槍ヶ岳のふたつのピークが聳えている。西側は剣岳の威容と立山の連なり。大気の状態が悪いためか遠望はあまりきかないが、かなたにつらなる奥黒部の山々の先には槍ヶ岳が天をさしている。北側は唐松岳と白馬が見えた。絶景を何枚かカメラにおさめたあと、ウーロン茶をひと口飲んで、早々ともどりにかかる。朝日が山肌にきらめく中、岩の下りはへっぴり腰モードで下り、岩峰の巻き下りでは下に誰もいないのを確認して杖をいったん投げ落として三点支持で下る対応をとったが、杖の投げどころを誤り、杖が登山道をコースアウトしてしまい、谷へ手をぐっと伸ばして杖を回収するという間抜けもやった。そのあとはトラバースをしずしずと下り、6時過ぎに山荘に戻りついた。
小田和正の歌が流れる食堂でごはん、味噌汁、鯖の塩焼きなどの朝食。そのあとザックを回収してもどりにかかる。涼しいうちに下ってしまおうと思う。白岳への登りをこらえて、そこからは荒れ気味の急な下りを慎重に過ぎ、3箇所のクサリ場も無事対応して、尾根の下りを続ける。鞍部までくだってから西遠見の登りをこらえる。振り返れば五竜の威容と鹿島槍の形の良さ。そしてその二座をつなぐ荒々しい岩峰。贅沢な景観である。小屋から一時間足らずで西遠見に戻り、そこからはダラダラした下りをしのいであっさりと大遠見を通過し、なおゆるいくだりやザレ際の下りを進んで鞍部まで下りつき、そこから中遠見への登り返しはじつに苦しかった。
中遠見でだいぶ遠くなった五竜や鹿島槍を望みつつ一休み。そのあと急な下りをしのいで、暑くなってきたが気合で前進し、小遠見のピークを巻き道ではしょり、トレッキングコースの下りをゆく。もう山の上はガスが出てきて西遠見の先は見えなくなった。テレキャビンで上がってきた登山者や高校生の団体登山とすれ違う。見返り坂を過ぎて地蔵の頭を通過。そこから木の階段を下り、9時過ぎにリフト乗り場に戻りついた。ヤレヤレとリフトに乗り、ゆっくりと揺られながら下り、アルプス平でテレキャビンに乗換えて、とおみ駅に戻りついた。エスカルプラザで風呂に入ろうと思っていたが、大糸線との接続が良過ぎるので断念し、そのままシャトルバスで神城へ向かった。
神城発10時1分の松本行きで戻りにかかる。2両編成の電車は登山者で埋まっていた。今回は所要時間の割に疲れた山行きであった。簗場を過ぎ、青い木崎湖のほとりを列車は走る。松本まで揺られ、上諏訪の足湯に入ってからスーパーあずさで明るいうちに帰京した。