山紹介及び最も楽な登り方:言わずと知れた、青森県津軽地方のシンボル的名峰。津軽富士の異名を持ち、その優美な佇まいは弘前市街からもよく見える。盛岡の岩手山と並んで、都市の背後に聳える山としては秀逸なる存在である。最も楽な登り方は、スカイライン八合目までバスで上がって、そこからさらにリフトで鳥海噴火口まで上がれば、頂上まで30分と言う反則的アプローチ。難易度0。
登山記録:2003年9月1日(月) 実働時間2時間18分 費用発生 59,710円(八甲田山とセット)
前夜2141上野・・・(あけぼの)・・・920弘前1105=1205嶽温泉1215=1245八合目<<<<1255鳥海噴火口−1318岩木山1323−1357八合目1410−1513嶽温泉1635=1735弘前1822・・・1906青森(泊)
魚沼駒ヶ岳を踏破し、百名山の登頂数が58座になったので、ここで「岩木・八甲田」カードを切って60座に乗っけようと決断した。数字とは重いもので、菓子や野菜の値段でも58円と60円では違うし、営業数値の達成率でも58%と60%では全然違う。この2座はいつでも登れると思い今まで手を出していなかったのだが、私も29歳。能力のなさを自覚しつつある年頃なので、一寸先は闇の世の中、さっさと60座を達成すべくプランを練った。
月火の休みが前日の夕方急に決ったのでホテルを押さえ寝台券を手配しコンビニのATMで金を引き下ろし、夜8時いったん家に帰って、着替えて適当にパッキングして三十分後にはもう出発した。聖蹟桜ヶ丘から京王の準特急に乗って新宿。JRに乗換えて、御茶ノ水秋葉原と乗換えて、上野には9時半過ぎに着いた。今回は豪華にもブルーとレインご利用である。弁当を買って、上野発21時41分の上越線・羽越線回り青森行き特急「あけぼの」に乗りこむ。定刻、ガックンという客車独特の響きとともに、「あけぼの」は発車した。指定された寝台は上段なので外の景色は見えない。黙々と弁当をかきこんでいる間に車掌の検札。大宮でかなりの客を乗せ、あけぼの号は夜の高崎線を突っ走って行く。することがないので早々と寝る。
寝台車の寝心地はあまり良いとは言えないのであるが3時ごろに一度目を覚ましただけで、あとは秋田の手前までよく眠れた。秋田で大部分の客が下車する。停車時間の間に駅弁を買っておく。そのあとも上段の寝台で9時前までゴロゴロして、碇ヶ関を過ぎて青森県にはいるころ、やおら起きだし下段に移る。列車は津軽平野へと下りにかかる。左前方には今日登る岩木山が見えた。富士山や八ヶ岳同様、その裾野がなんともいえない美しさ。
9時20分、弘前着。岩木山登山口の嶽温泉方面のバスまで間があったので、駅前のイトーヨーカドーのレストランで朝食休憩。そのあとバスターミナルへ移動し、11時5分発の嶽温泉経由枯木平行きのバスに乗りこむ。弘前市街を走った後岩木山がだんだん近くなってきて、岩木山神社をすぎると右窓に堂々たる威容を見せてくれる。バスは岩木山のふもとを巻くように西へ進んでいき、岩木山麓公園や、とうもろこし即売所などを見ているうちに嶽温泉に着いた。温泉旅館が数軒立ち並んでいてそれなりの賑わいを見せている。ここからも岩木山への登山道が伸びているが、八合目まではスカイライン経由のバスがあるのでそちらに乗りかえる。八合目行きのバスは岩木山スカイラインに入りつづら折りのカーブを切りながら登っていく、ほどなく8合目に到着。ここからさらに頂上直下の鳥海噴火口までリフトが伸びている。歩いても行けるのだが、無視できるほど人間ができていないので、500円を払ってリフトに乗る。これはらくちん。
ということで何の苦労もなく頂上直下までリフトで運んでもらった。すこし下って、ザレた斜面をひと登りしてホウメイヒュッテ。学生が積雪期の岩木山で遭難したのを機に建てられたという銘板がある。ここからが意外に苦労する登りであった。アルプスを想起させる岩混じりの急な上り坂が続く。歩き出しがいきなりこれと言うのもしんどい。それでも時間的にはどうということなく、いったん平坦な所に出て、もういちど急な坂道を上がると、あっさり岩木山頂上に出た。歩き出してからまだ23分しか経過していない。頂上には奥の宮やら休憩所が数軒建っていた。眼下の津軽平野がよく見える。
釈然とせぬままもどりにかかる。2つガレた急坂を慎重にくだってホウメイヒュッテの横からちょっと下ってリフト乗り場への道を分け、八合目へ下る。樹林帯の中の湿っぽいどうということのない道であった。淡々と下り、リフトのモーターの音がだんだん大きくなって、八合目駐車場に戻りついた。秋田で朝に買った駅弁牛めし800円の昼食。駅弁の常であるが値段ほどの味ではない。嶽温泉への下りバスが1時間半以上後の15時45分までないので、嶽温泉まで登山道を下ってしまうことにする。あまり歩かれていないと思われる林の中の小道を淡々と下る。次第に道幅が広くなって、下りも緩くなって行く。考え事をしながらたんたんと歩き、高度が800を切ると地面が湿っぽく赤茶けた土となり滑りやすい箇所がいくつか出てきたので転倒に気を付けながら進む。
ほどなく階段状のゆるい下りを進んで、羽黒方面の道を分けて、稲荷神社の横を過ぎると嶽温泉に戻りついた。弘前行きのバスまで間があったので、嶽温泉の露天風呂で汗を流す。だだっ広い硫黄泉の風呂につかりながら、これぞみちのく温泉ツアーだなと思う。そのあと16時35分発の弘前行きのバスで戻りにかかる。岩木山を左にみながらバスは下っていき、弘前市街に入り、5時半ごろ弘前駅に戻った。今夜の宿は青森駅前のビジネスホテルを押さえてある。18時22分発青森行きに乗って青森を目指す。近郊型ロングシートの3両編成であった。
夕暮れの津軽平野を電車は進み、川部に停車、五能線を分けて北常盤に停車、貴ノ浪の出身地である浪岡に停車。大釈迦からトンネルを越えて鶴ヶ坂、青森平野へ入って行き津軽新城、新青森を過ぎると青森駅手前の線路がごちゃごちゃした区間に入って、そろりと抜けて19時6分、青森着。青森は海の幸がうまいだろうと考え、60座達成の前祝いをすべくビジネスホテルに荷物を置き、郷土料理店の暖簾をくぐる。枝豆とビールと刺身定食で3000円。もずく酢が酢の利き具合が抜群でおいしかった。
山紹介及び最も楽な登り方:青森の内陸南部は八甲田・十和田・八幡平と続く森と湖の大観光地を形成しています。八甲田山は高田大岳、前岳、井戸岳、南八甲田連峰などいくつものピークを有し、八甲田山というより八甲田連山といったほうがいいのかもしれません。最高峰は大岳。最も楽な登り方は、ロープウエイ利用は稜線部分のアップダウンが長いと思われるので敬遠し、酸ヶ湯からのピストン。難易度1。
山行記録:2003年9月2日(火) 実働時間 3時間10分
800青森=915酸ヶ湯温泉−1028仙人岱−1103大岳1119−1135仙人岱−1225酸ヶ湯温泉1240=1345黒石1420=1520青森1544・・・八戸1655・・・東京2008
青森発8時の十和田湖行きのバスは観光客でそこそこ埋まっていた。青森市をあっさり抜け、ゴールドラインに入って、萱の茶屋で休憩。そのあとグングン高度を上げて行って、ロープウエイ駅、城が倉温泉を過ぎて、酸ヶ湯温泉に到着。きのうの嶽温泉よりひとまわり大きい温泉場のようである。トイレ横の階段を上がりしばらくゴールドラインと並行し、ほどなく左に折れてじめじめした道のゆるいのぼりが続く。足の置き場を見定めながら適当に登って行く。2時間程度の登りだが、標高差700mを稼ぐので楽勝とはいえない。
40分ばかり樹林帯の道を高度を上げて行くと、低木帯となり南八甲田や遠くには昨日登った岩木山が見える。ほどなく岩のゴロついた枝沢を二つ渡り、硫黄の臭いのする沢沿いをつめてゆく道となった。歩きやすいルートを探しつつ、岩のゴロゴロした間に足の置き所を見つけて高度を上げて行き、沢を2、3回渡ると仙人岱の湿原に入った。印象的だったのが湿原を流れる小川の流れ。実にか細く、深さも数センチ。それでも先へさらさらと流れているさまは健気さを感じ、胸を打たれる。
木道を進み、仙人岱ヒュッテへの道や、小岳への道を分けると、いよいよ眼前の大岳へ取り付く。樹林帯の中の急峻な登りがしばらくつづくと高山帯となってハイマツが現れた。ほどなく道は富士山や御嶽山のような赤ザレの斜面にしっかりとした階段状の登山道のついた道となった。道の両側は富士山やアルプスでよく見られる金網の中に岩石を入れたのでガードされている。荒涼とした斜面の中につくられた道を一歩一歩登っていって、11時過ぎに小広く荒涼とした大岳の頂上にたどりついた。
晴れ間はあまりないが、高曇りなので眺望は抜群。北側は津軽半島と陸奥湾、青森市街や下北半島、小川原湖が見渡せる絶景。北側の近くには井戸岳や赤倉岳の稜線がロープウエイの駅までつらなっている。南に目をやれば高田大岳が雌岳・小岳を従え、遠くには南八甲田の山々、その奥に見えるのは岩手山と八幡平。西は津軽平野と白神山地、岩木山が見える。風がそこそこ吹いているので写真を何枚か撮った後退散する。この山行ではろくに体を動かしていないので本気で下る。ザレた斜面を勢いを殺しながらステップを切って、ホイホイと下って15分で仙人岱に戻った。木道の上をタタタタと進み、硫黄の斜面を一目散に下って、樹林帯のくだりみちにかかる。
湿っぽい道を適当に下って、頂上から1時間強で酸ヶ湯に戻った。あいにく青森駅行きのバスは14時45分までなく2時間以上待ちを覚悟したが、時刻表にはない黒石行きのバス停を見つけ、次のバスは12時40分発という好接続。計画を変更し、黒石行きに乗った。城が倉大橋を渡り黒石方面へ下って行く。バスは黒石まで私一人の貸しきり状態であった。津軽平野に下りて13時45分、黒石着。案の定青森行きのバスは1時間に1本の割りで出ており、次は14時20分発。弘南電鉄で弘前を回るより早いなと判断し、黒石駅前のスーパーの鮮魚売り場を瞥見してから青森行きのバスに乗った。津軽平野をローカルバスは進む。
昨日の夕方列車で通った浪岡や大釈迦をバスで過ぎて、鶴ヶ坂を下って青森市街に入った。青森には15時20分頃着いた。この効果で青森発の特急は1本早い便に乗れることとなった。りんごジュースを買った後、15時44分発の特急「スーパー白鳥22号」で八戸へ向かう。特急列車は陸奥湾とつかず離れず走り、浅虫温泉を過ぎると人家のまばらな地帯を走り野辺地に停車、三沢に停車。そして八戸市街に入り、八戸に到着。ここで昨年開通したばかりの「はやて」にはじめて乗る。
「はやて」の指定券は青森で買っておいた。売店でとりめしと赤ワインの小瓶とイカ耳のつまみを買って16時55分発の「はやて24号」に乗る。新幹線は山の中、トンネルの中を疾走しながら南をめざす。私はワインと紙コップを窓枠に置いて、60座達成を一人祝った。もっとも今回はプラン通りに動いてカネを使っただけで、ろくに運動していないのではあるが。盛岡で「こまち」と併結し、北上川を渡りながら南へ爆走して行く。ワインの酔いも手伝って、私はまどろみながら、東京への戻りについた。