2000年8月15日(火) 費用発生 23,500円(妙高分を含む)
029八王子・・・408塩尻430・・・545長野636・・・715妙高高原720=800笹ヶ峰ー835黒沢850ー1030富士見平ー1110高谷池ヒュッテ1120ー1225火打山1230ー1325高谷池ヒュッテ1345ー1430黒沢池ヒュッテ(泊)
インスパイア、という言葉がある。何かに火をつけられての発想、行動を指すらしい。社会人になってから、小生の登山スタイルが変わってきつつあるのも環境でのインスパイア、によるものではなかろうかと常々思っている。あの山は苦しそうだから後回しにしよう、先送りしよう、と考えていた山にあえて登るようになった。やはり「出来ません、やれません、」というネガティブな言葉は社会においては通用しないらしく、「目標を達成するためにはどうすれば良いか」という考え方及び「今やらなくて、いつやるのか、ウカウカしている場合ではない。」という考え方にインスパイアされたのか、いきなり、
月曜の夜仕事がはねた後、前回同様八王子駅のコインロッカーから山道具を取り出し食料を買いこみ、腹ごしらえをしてから0時29分発の夜行急行「アルプス」に乗るべく八王子駅中央線ホームに降り立つ。お盆のピーク時で増発がないので座れるわけがなかった。洗面所の脇にある冷水機に凭れ、席が空くとみられる甲府を待つばかりである。こういう時の甲府までというのも案外長いので携帯電話を取り出し近頃流行の「iモード」でゲームなどを行って時間をつぶす。もっともトンネル区間に入るとパケットが飛ばないため次の画面に進めない。立ちんぼでも車掌は検札にやってくる。昔は各駅停車の夜行も存在したのに今は「アルプス」1本のみ、立ちんぼなのに急行料金1030円を徴収される。登山は生命を賭けた遊びだと云うことをJR東日本は理解していないらしい。
甲府で南ア方面の登山者がドカッと降りたので席にありつくことができ、そこから先は乗換駅の塩尻まで何も覚えていない。塩尻でホームの対面に停まっている急行「ちくま」に乗りかえる。増発の「くろよん」が出ていたこともあってか案外車内はすいており、長野まで眠れた。立ち食いそばの朝食のあと、直江津行きの始発に乗りこみ一眠りすると、黒姫を過ぎていた。次が妙高高原である。ここで笹ヶ峰行きに乗りかえる。
目が覚めたら笹ヶ峰の登山口であった。眠いが歩みを始める。木道を歩き、徐々に登りにかかって行く。そのようゆるいのぼりを30分ばかり進むと道がすこし下りに転じ、黒沢の流れを木橋でわたる地点に出る。ここで二度目の朝食にする。さて、ここからすこしの間は十二曲りの急坂である。しかも足下が湿っており滑りやすい。なかなかピッチが上がらない。夜行のせいもあり今日は不調だなと思う。自分の歩幅で歩けない分、南アルプスの三伏峠への登りより厳しいと感じた。何回か滑りそうになってヒヤリとする。タイヤ(足回り)と路面がかみ合わないのでサスペンションが重要だなと感じる。
そういう「サス」が要求される箇所を延々と登りつづけ、高度が2000mを超すと再び登りがゆるくなり、分岐点の富士見平に到着した。まず火打山に登る予定なので左に進む。軽く登ってから黒沢岳の左斜面をトラバースするかたちの道となり、巻き気味の道をかなり歩くと、ひょっこり高谷池ヒュッテの脇に出た。荷物を置いて、空身で頂上へ向かう。高谷池のほとりを木道で過ぎ、ひとしきり歩くとロックガーデンのような地形となり、それを過ぎると天狗の庭である。池や残雪をちりばめた素晴らしい景色である。天狗の庭の北から尾根に取り付く。尾根上に出ると日本海側が完璧にガスっているので稜線だなと判る。
そこから階段状の急坂をひとしきり登って雷鳥平、そこからは尾根どおしのやや平坦な道。そこでガスが薄れ、霧の間から頂上部の威容が見えた。尾根道が終わるとすぐにガラガラのガレ場の急登り。不調だったせいもあり相当つらく感じた。ガレ場の登りが終わるとハイマツの間を登り詰め、ほどなく火打山頂上にたどり着いた。展望はガスのため無しに終わった。空身だったがヒュッテから1時間5分かかった。登頂のポーズ、決めっ。
そこからヒュッテまでの下りもガレ場、尾根道、階段のくだりと容易ではなかった。倒れかかった木が登山道を塞いでいる個所があったので久々のリンボーダンスで通過する。ほどなく尾根と別れ、天狗の庭を瞥見しつつ高谷池ヒュッテに戻る。疲れと不調のせいか木道歩きでも苦しく感じる。ヒュッテのベンチでおにぎりとピクルスの昼食。酢の酸っぱさがなんともいえない。
とりあえず黒沢池ヒュッテまで歩く。緩やかに登って再び日本海側との境の尾根に出る。しばらく尾根どおしに歩いた後、ゆるいくだりになり、そのまま笹原のなかの下り道をとぼとぼ下って行くと雪田が現れ、独特の形をした黒沢池ヒュッテが現れた。山岳救助用の巨犬が2匹いる。まだ2時半だが不調なので、きょうはこれでおしまいにする。宿泊料は夕食付きで7000円であった。2食つきにすると朝食が5時半からなのと、宿泊料が8500円になってしまうので翌朝の朝食は手持ちで済ませることにした。指定されたスペースは3階のA-1スペースである。
黒沢池ヒュッテは八角形の建物で、構造は日本武道館に似ている。客室は2階と3階で、2Fから3Fへはハシゴで上がる。お盆のハイシーズンだけあって小屋はたちどころに満員となり、布団4つのスペースに6人が寝るという格好になってしまう。夕食はごはんに味噌汁、牛肉の煮物・たけのこ少々、金時豆にポタージュスープという妙な献立であった。夕食後は早々と寝る。疲れているので悪状況下でも浅い眠りだがそこそこ眠れた。
おにぎりの朝食をすませ、妙高山へと歩きにかかる。
2000年8月16日 火打山より継続
黒沢池ヒュッテ510ー530大倉乗越ー600燕新道分岐ー700妙高山北峰ー707妙高大神720ー815天狗平ー845地獄谷分岐ー940黄金の湯955ー1000燕温泉1056=関山・・・直江津・・・六日町・・・越後湯沢・・・東京1640
外輪山を乗っ越す大倉乗越まではしんどい登りが続く。だがわずか20分なのでさしたる苦痛もなく到達。ここから燕新道までは意外に長い下り坂。目の前のいかつい妙高山がどんどん高くなって行く。そうとう下った後、道は巻き気味となり、ほどなく雪渓に出る。雪解け水がチロチロと流れているので手にすくって飲む。雪の上をわたってわずかに進むと燕新道の分岐。そこからは妙高山めがけての急な登りである。岩の多いごつごつした歩きにくい道なので若干緊張する。
登るにつれ道は手強さを増し、最後の方はロープが張られている箇所もあったりして緊張したが、時間的には短いので、あっさりと妙高山の頂上についた。ガスのため遠望は利かないが、外輪山の発達ぶりが良くわかる。昨日登った火打山はどれだか特定できなかったが、雲のかなたに雪を抱いた北アルプスの山々が確認できた。妙高山頂上より、南峰の妙高大神の方が標高が高いのでそこまで歩いてからひとやすみする。
登頂のポーズ、決めっ。さて燕温泉への下りも岩稜の下りから急なくだり、そしてロープ、鎖場と容易でない道が続き、気が抜けない。そんな変哲に富んだ道を警戒しながら下ること小一時間、光善寺池のそばを巻いてさらにひとしきり下ると天狗平の分岐。そこからも木の根張り出す道を慎重に下って行くと地獄谷の硫黄の臭いが徐々に濃くなって行き、ほどなく地獄谷に降りたつ。そこから谷沿いを下って行くとまた分岐。どちらを歩いても燕温泉までは一時間なので谷沿いの道を選ぶ。称名滝・光明滝を巻き気味に下って行くと谷沿いの高巻き道。ほどなく温泉管理道と並行するようになり、さらに下って行くと赤倉源泉。そこからも高巻き道をひとしきり下ると燕温泉スキー場のゲレンデに飛び出す。ゲレンデを下りきると黄金の湯の露天風呂。観光客もここまで入りに来ている。
硫黄の臭いの濃い露天風呂に入り、疲れを流す。ここで普通の靴に履き替え、ワイシャツ姿ですこし下り、温泉旅館が数軒立つ燕温泉に入って行き、バス停に戻りついた。帰りはほくほく線経由で越後湯沢から新幹線にて帰京した。