YAMAMIX CLIMAX 2000

33.仙丈岳 3033m

2000年7月30日(日) 費用発生 11,255円(食事代込み)

025八王子・・・大月118・・・209甲府300=500広河原640=700北沢峠702ー820大滝頭ー910小仙丈岳925ー1010仙丈岳ー1130大滝頭1150ー1240北沢峠1320=1400広河原=1550甲府1607・・・1800八王子

八王子発0時25分の各駅停車大月行きの最終に乗る。今回の目的は南アルプス北部で比較的容易に登れる山でありながら、なぜか今まであとまわしにされた仙丈岳である。シーズン中の天気のそこそこ良い土曜の夜だが臨時夜行列車は出ないので、たぶん八王子からなら座れないなと考えた私は、土曜の夜仕事がはねたあと八王子駅前のファミレスでゆっくり遅い夕食をとり、コンビニで食料を買いこみ、とりあえず大月に向かった。意外なことに高尾を過ぎても車内はほぼ満席であり、藤野や上野原で降りる人が多い。東京の通勤圏の広がりを実感する。

四方津をすぎると車内はガラガラとなり、梁川、鳥沢、猿橋の順に停車して1時過ぎに大月着。ここで急行アルプスを待つ。せめて大月までは座ろうと考えたのであった。ほどなく急行アルプスがやってきた。案の定すべての座席が埋まっており、デッキに立つひとも多い。これで甲府までの1時間弱は前回同様立ちんぼの無聊である。まあ、世の中そんなものであろう。

大月を発車した急行列車は桂川の支流の笹子川沿いに高度を上げて行き、甲州街道とつかず離れずと言った格好になる。笹子を通過すると列車は長い笹冴トンネルに入り、当方は憮然とした面持ちのまま村上龍の刹那的な小説を読みながら時間をつぶすのみである。トンネルを抜けると武田氏終焉の地、甲斐大和である。そこから甲府盆地の夜景をながめつつ勝沼方向に列車は下り、塩山に停車。塩山からは果樹園の中を甲府へ向かい下って行く。ほどなく山梨市に停車し、そのすぐあと笛吹川を渡る。そして石和に停車、酒折を通過すると左手に身延線のレールが寄り添ってきて金手駅を横目で見て、甲府駅の構内に列車は進入する。

前回の北岳ツアーの時同様、深夜の甲府駅は南アルプスへ向かう登山者で混雑していた。広河原行きのバスも3台立て。しばしまどろみ、ガックンという衝撃で目覚めるとバスは芦安を通過し、南アルプス世界へ高度を唸りながら上げていった。つづら折りの車道をバスは駆け上がり、右に左にカーブを切り、長い夜叉神峠、観音経トンネルを抜けると野呂川の谷に出る。数え切れないほどのカーブとトンネルと橋梁を過ぎ、アカヌケ沢をトラス橋でわたり、アカヌケトンネルを抜けると、10日前来たばかりの広河原である。大樺沢にまだ雪が残っている。

アルペンプラザで北沢峠までのバス乗車券を買って、広河原バス停で1時間半以上バスの始発を待つ。こんな時の為に甲府で清水一行の長編企業小説を買っておいた。ドロドロした話を最後の方まで読んでいくと、バスの発車時刻が近付いた。幾台ものバスに登山者が分乗し、野呂川沿いの林道を北沢峠へ進む。バスの中で一眠りすると北沢峠。さあ仙丈岳への登山開始である。

北沢峠からジグザグの樹林帯登りである。ちょっと登るとすぐに一合目の表示。そこからしばらく登って行くと道は尾根どおしとなり、すこし下りに転じて二合目。ここからは山腹をガンガン登って行くスタンダードな登山道である。だが本日は夜行のせいか調子がよろしくない。幾人もの登山者に先を譲る。いま意地を張るとあとが苦しくなるというのがいままでの経験則である。木の根と岩の間の急斜面の道は少し苦しい。高度計の数字がなかなか上がらず、やれやれと思う。それでも1時間20分で五合目大滝頭まで到達した。

そこからも潅木帯ののぼりは続く。今日はガスがかかっていて遠望はきかないが対面の甲斐駒ヶ岳の白亜の城砦的な姿、鋸岳の異様、仙水峠のスパッと切れおちたさまぐらいは分かる。尚も霧の低木帯を淡々と登って行くと森林限界を越え、ハイマツの斜面の中の登山道となる。眼前に茫洋とした大きな山が横たわっているが、おそらくあれが小仙丈岳であろう。北沢峠から手軽に登れるからか、北岳より登る人が多いように思える。ハイマツの斜面を登りきると小仙丈岳。ここから尾根上を少し歩き、風の当たらない斜面で朝食。日が照らず寒いのでジャンパーを羽織る。あと頂上までは1時間足らずである。

そこから少し岩の上を下ってから、いよいよ仙丈岳への斜面に挑む。ハイマツはいよいよ地面にへばりつく形になってきた。こういう形でハイマツは長い冬の寒さや風に耐えるのであろう。風がビョウビョウと吹きつけ、悪いことに小雨が落ちてきて体感温度を下げて行く。ほどなく仙丈避難小屋への道を分け、ザレ場の稜線となる。目の前に霧の中からゆらゆらと小高い丘が現れあれが頂上ではと思うもまた霧の中から次の丘が現れる。それを3回くりかえすと当方も疑心暗鬼になってくる。ただでさえ寒い中雨に打たれてののぼりは昨年の乗鞍岳の悲劇を思い出させてしまう。すれちがう下山者にあとどのくらいで頂上ですかと問うて、次のピークが頂上とのこと。次に現れし丘は仙丈岳の頂上であった。何も見えないので記念写真のみ撮って早々と引き返すことにする。登頂のポーズ、決めっ。

雨に打たれながらのザレ場の下りや岩場の登り返しは容易ではなかった。とくに小仙丈手前の登り返しでは息が乱れた。さすがは3000m峰、甘く見てはいけないものだと思う。息を乱しつつ、帰路は小仙丈のピークは巻き道があったのでそれを使いはしょる。小仙丈をすぎてからはハイマツ斜面のナンボかましなくだりとなったので淡々と下る。今ごろになって雨が上がり、日が射してきた。ハイマツの背丈が徐々に高くなりシャクナゲがあらわれ、低木帯から元の樹林帯にもどり、しばらく下ると大滝頭。ここで大休止を取る。雲間から甲斐駒の全容が見え隠れする。栗沢山やアサヨ峰も大きい。

ここからは登山口まであと1時間そこらなのでどんどん下って行く。木の根と岩の間をドスドス下って行く。この手の山の常だが、下るにつれて道があるきやすくなるのでつい力が入ってしまう。あっというまに2合目にもどりそこからのすこしの登り返しが多少きつかったが、それをすぎればあとは北沢峠めがけての何の変哲もない樹林帯の下りである。霧にけむる南アルプスの樹林帯も幻想的である。足任せに下って行くと北沢峠のざわめきが聞こえ始め、ほどなく北沢峠に戻りついた。広河原行きバス待ち行列の最後尾に並ぶ。運良く5台目のバスに座ることができた。

北沢峠、甲府、八王子乗り換えで、自宅には明るいうちに帰着できた。アルプス3000m峰の夜行日帰りも面白いがもう少し展望が欲しかったなと思った。

34 塩見岳に進む

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