東海自然歩道 第30区 沓掛→紫香楽宮駅

2001年6月4日(月) 所要タイム11時間24分 費用発生25,000円

(前夜)2133八王子・・・2245横浜2315=(高速バス いが号)527関バスセンター−545関645=655楢の木ー700沓掛−948不動の滝1003−1053ゾロ峠−1120山之辺コース分岐−1130余野公園−1400伊勢廻寺1440−1545上磯尾−1620昭和池−1632甲賀展望台−1650岩尾池−1703新田バス停−1730つめた谷林道−1814隼人橋−1824紫香楽宮分岐−1830紫香楽宮跡駅1852・・・1901信楽1927・・・貴生川1952・・・草津2034・・・米原・・・2202大垣2309・・・442東京

230kouga.jpg (16299 バイト)

日曜日の夜わたしは会社で黙々と慣れぬ手つきでMSパワーポイント(プレゼンソフト)と格闘していた。もっとも小生は細かいことは気にしない性格なのでただテキストボックスに言葉をただ入れただけになってしまう。休み明けに起こるであろうゴタゴタ、バタバタバタを考えると気が滅入るが、最近はその日その日でどうにかうまくやって行こうというずる賢い考え方になってきている。午後九時、私はパソコンの電源を切り、ネクタイを外し会社を後にした。京王八王子のコインロッカーに登山用具一式の入ったリュックを預けてある。

松屋の牛丼で腹ごしらえをし、スーパーで食料を買いこんでから私は八王子駅に向かった。横浜線の電車に乗り、車内でひまつぶしのヤングジャンプを読み終わる頃東神奈川に到着。京浜東北線に乗換え、一駅で横浜。改札口を出て東口方面へ向かい、そごうデパートの地下を抜けると横浜駅東口バスターミナルである。今回の旅はいつもの「ながら」利用ではなく、夜行高速バス「いが号」を使う。

横浜バスターミナル23時15分発の高速バス「いが号」は関バスセンター、伊賀上野を経由して名張まで行く。車内は六割がた埋まっていた。バスは横浜西側の住宅街を走った後、狩場から高速に入り、保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速に入って行く。高速バスは夜行列車にくらべると数段、居住性は落ちるのだがまずまず浅い眠りをとることはできた。目が覚めたら午前4時を回っており、バスは木曽川を越えて長島インターを過ぎ長良川を渡り、桑名インター、四日市インターと東名阪道を突っ走ってゆく。亀山で高速をいったん降り、名阪国道の入口である関バスセンターに停車。高速バスと地方路線バスをリンクするバスターミナルのような所で、駐車場もある。だが私はJRの関駅まで歩かねばならない。

朝五時過ぎだというのに大型トラックがひんぱんに通り過ぎる中を歩き、名阪国道の下をくぐり、勧進橋で鈴鹿川をわたると国道1号線に出るので左折、そしてしばらく歩くと関駅である。バスセンターからの所要時間は18分であった。この手を使わないと6時45分発坂下行き(休日運休)のバスに乗れないのである。きょうはまだ梅雨前線が北上してきていないのでピーカンの快晴であり、東の空には今日一日私を苦しめるであろう太陽が早くも強い日差しを放っている。バスの発車まで間があるので駅の待合室で弁当の朝食。

坂下行きのバスは関の町を抜け東海道を走り、10分足らずで楢の木バス停に到着した。ここから前回打ちきった沓掛(渡道橋の先)まではすぐである。午前七時ジャストに打ち切りポイントの道標にタッチし、今回の歩みをスタートさせる。まずは動物の糞がやたら落ちている林道のゆるやかな登りがしばらく続き、三十分近くあるくとそこそこ広い貯木場に出る。丸太がきれいに積まれている。そこからしばらく歩くと加太駅への林道からはなれて、山道に入る。急な階段による尾根の取り付きである。前回の鈴鹿峠もそうだったが、この辺は階段のつくりかたが急角度である場合が多い。早い段階から汗をかくと後が大変なのであるが。

ほどなく道は尾根上のアップダウンの繰り返しとなる。しかめっ面をしながら登り下りを耐える。ほどなく道が下りに転じ、急な下り坂を階段でどんどん高度を下げて行くとダートの林道に出た。しばらくダートの林道の下りを続けると林道が分岐し、こんどは沢沿いの林道の登りとなる。流れが徐々に細くなって行き、林道のどん詰まりから山道が始まり、ジグザグの登りを経るとわりあいあっさりと峠を越える。しばらくあるくとまた沢が現れ、今度は下流へ歩くのでだんだん流れが太くなって行く。しばらくは沢の流れに付き合うが、沢が深い谷を刻むようになると高巻き道となり、右側に谷を見下ろす道となる。水害で荒れているのか、谷には倒木が散見される。

そのあとターンをくりかえして林道に降りる。林道終点から沢沿いをすこし歩くと、不動の滝である。瀑布は東海自然歩道のコースからすこしははなれた所にあったがそこまで行ってみる。林の中、三方を岩壁に囲まれており昼なお暗い。そんななかを二筋の流れが落ちて水煙を上げている。暑くてたまらないので二度目の朝食タイムを取る。滝の中に入ってしまいたいくらいの暑さだが、さすがにそれは自重した。そしてゾロ峠に向かい登り出す。しばらくはさっきと似たような沢沿いをつめてゆく道であり、ときどき対岸へ飛び石伝いに渡る面白い道である。標高300mの不動の滝から560mのゾロ峠まで、260mを稼げば良いので楽なはずだが暑さのせいか体が重い。南アルプスは1500〜1700mくらいを一日で稼ぐので全然ましだと思うのだが。

沢の流れがか細くなると山肌に取り付き、急な登りを経て尾根伝いに歩き、そのあと山肌を巻き気味に登って行くと左から鳥山方面の登山道が現れ、右からも三国岳からの登山道が合わさり、ゾロ峠に到着した。ここからは柘植方面へ下って行く。ほどなく斜面を下りきり、沢沿いの道をしばらく歩いて、建造中のトイレの横から林道に出た。右側の製薬工場がある林の中の道を淡々と下り、左側に人家が現れてくると山之辺コースの分岐である。そこから右に余野公園を瞥見しながら歩き続け、わりあいあっさりD51の保存場所をへてJR草津線を車道で越えた。時間はまだ11時半、まさか行動時間4時間半で帰る訳にも行かないので、かなり強引ではあるが紫香楽宮まで歩くことに決めた。線路沿いをしばらく歩き、県境沿いの小道に入って行く箇所ですこしコースミスをしてしまった。

草がおい茂る小道をひたすら進む。起伏があまりないのが救いであるが、それにしても暑い。気温は30℃を越えているであろう。こんなこともあろうかと思って帽子を被っているが熱射のダメージはある。目の前がクラッと来て、気分がすこし悪くなったので日陰を選んで一休みする。手の甲も汗に濡れている。ふらつく足どりでなんとか歩みを進める。冬場ならこういう道は全然楽勝と思うであろう。時々車道に出るが、基本的には山道である。どうにか県道に下り、伊勢廻寺(いせばでら)へ道標に従い歩く。集落に入りジュースの自販機でもあればと目で探したがそんなものは無かった。ほうほうのていで伊勢廻寺着。たまらずその場に座り込む。

寺の水道をゴクゴク飲む。水を頭から被る。手や顔に水をかけてクールダウンを図る。そしておにぎりとりポビタンDの昼食タイムとする。なんだかんだで再出発までに40分を要した。寺の横から車道に出て横切り、田圃の畦道をすこし歩き、またさっきの車道に戻り、また山道を歩きしばらくすると大規模な造成地の前に出た。工場でも作るのだろうか。自然歩道は造成地の横を縫うようにつけられており、重機の音が興ざめする。そういうよくわからないところを進み、林道を進んで行く。ほどなく明王寺の前を通過する。そのまましばらく歩くと上磯尾の集落である。ジュースの自販機はないかなと思いながら集落を横切り、やはりないかとすこし気落ちしながら田圃の奥へと進み、そこからダートの林道をかなり登って行き、一軒家の横を通ると昭和池に到着した。昭和池を半周ちかくあるくと、甲賀展望台の登山道入口である。ここでウーロン茶を飲む。

急な坂道を必死の形相で登って行くと、どうにか甲賀展望台に到着した。甲賀の里が一望のもとに見渡せ、甲賀忍術はもともと鈴鹿峠の山賊対策として始まったのだと言う説明看板がある。そこから山道をひとしきり下って大沢池の横に出て、池沿いのダートの道をしばらく進み、大津トンネルを抜けてしばらく歩くと岩尾池に出た。ようやく夕暮れ時、散々私を苦しめた太陽も西に傾いてきた。池の堤体を越えると車道に出て、新田の集落へ下って行く。田圃の隅から草焼きの煙が上がっている。車道を下って、バス停の横を通り、つめた谷の分岐に入る。ここからもうひとつ、峠を越えねばならない。単調なアスファルトの登りをこらえる。こういうときのためにMDウォークマンを持ってきてはいるが、いま緊張の糸が切れるとよくないので呼吸を整えながら歩く。

つめた谷は左側にあるが林に隠れているため、流れる音しかしない。高度300を越えるとアスファルト道からダートの林道に入る。隼人橋まで3.2kと道標にあるが、こういうときの3.2kmはおそろしく長い。ただの林道の登りだが、頂上直下のザレ場を登っているかのような錯覚に陥る。やがて水の音が聞こえなくなり山肌を直接登って行くようになる。おもなものだけできょう4度目の峠越えである。標高400に達し、ようやく峠を越えた。ふらつく足取りで林道の下りにかかる。またまた沢沿いの下りとなり、あたりがだんだん薄暗くなって行く中、当方はひたすら林道を下った。ようやく国道を走る車の音が聞こえ始め、川沿いに出た。ここまでくれば安全なので残った水やお茶をすべて飲み切った。そこから川沿いを進み、しばらく進むと信楽高原鉄道の鉄橋が頭上に現れた。隼人橋である。

ここから信楽高原鉄道の紫香楽宮跡駅までは1.5kmであるが、東海自然歩道はさらに一山越えるためあと一時間近くかかってしまう。日没近いし疲労困憊なので山越えは省略して、直接国道を紫香楽宮跡駅まで歩くことにする。それなりに交通量の多い国道を10分近く歩くと、左側に衝突事故現場の慰霊碑がある。JRの臨時列車と信楽高原鉄道の列車が単線上で正面衝突し死傷者が多数出た地点である。そのあとすぐ東海自然歩道に復帰した。ここから駅まではすぐである。

午後六時半、ようやく紫香楽宮跡駅にたどりついた。無人駅だがトイレやジュースの自販機ぐらいはある。ジュースを飲んでひといきつける。太陽が西の山に沈み、あたりに闇が迫る。貴生川方面の列車まで間があったので信楽へ向かい、ちょっとだけ信楽の町を観光し、タヌキの置物を買ってから帰途についた。貴生川で草津線に乗換え、草津に着いたのが午後八時半、新幹線ではもう帰れないので「ながら」の指定席券を買い、東海道線を乗り継いで大垣に出て、白木屋で一杯飲んでから「ながら」で帰途に着いた。車内で眠りこけ、東京着は早暁の4時42分。さらに中央線・京王線と乗り継ぎ、七時前に自宅に戻りついた。

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