山紹介及び最も楽な登り方:
上高地大正池のそばに金屏風のようにデンと聳え立つ荒荒しい山。北アルプス唯一の活火山であり、ついこのあいだまで登山禁止が敷かれていたと思う。現在も硫黄の噴煙が濛々と立ちこめ、危険な感じがしないでもない。登山道は上高地および中の湯から通じていまして、最も楽なのは上高地からではないかと思います。
登山記録:
2000年9月15日(金・祝)夜行日帰り 費用発生 15,500円
2323大塚・・・2344立川2352・・・急行アルプス81号・・・330松本340・・・新島々410=帝国ホテル前518ー焼岳登山口535ー710焼岳小屋720ー822焼岳北峰頂上830ー920焼岳小屋ー1035焼岳登山口ー1100上高地バスターミナル1120=1230新島々1243・・・1313松本1320=1648新宿1700・・・1725聖蹟桜ヶ丘1735=1750中和田天神
今年はここに登ってあそこにも登りたいなあ、といった大まかなプランを夏前に立てるのが常であるが、焼岳は是が非でも登るつもりでいた。理由は単純で、昨年失敗しているからである。夜明けで薄暗かったとはいえ、道をまちがえて沢に迷い込んだあげく、一時間もロスしてから間違えに気がつくという大失態を演じてしまったので、今回はすっきり登ろうと考え、上高地からやってみようと決意した。もっともいつもの事ながら計画だけ決めておいて、前の日0263−177に電話して長野の天気予報を聞いてから今夜行くぞと実行の決断を下し、荷物をまとめるのだからいいかげんといえばいいかげんである。
今年の山行きは急行アルプスばかりである。書いている方もつまらない。体に負担のかかる夜行利用はやめましょうというのが登山のセオリーだが、勤め人である以上休みには制約がある。夜遅くにモノレールに乗りこみ、多摩丘陵を越え、高幡不動で京王線の上をまたぎ、浅川と多摩川を渡って、立川南にモノレールは滑り込む。きょうは連休の前とあって急行アルプスの臨時が二本出る。立川の下りホームで待つほどもなく、急行アルプス81号がやってきた。臨時列車なので波動用編成の169系急行型6両編成であり、座席も簡リクなので定期の「アルプス」よりはワンランク下である。にもかかわらず空席はなかった。思案に暮れたまま列車は多摩川を渡り日野豊田を通過し、豊田電車区の横をかすめ浅川を渡る頃、八王子で降りる通勤客が数人席を立ったので、座ることが出来た。そこから先はうとうとではあるが眠っていたためあまりよく覚えていない。
まつもと〜、まつもと〜という独特の駅アナウンスで目が覚めた。急いで荷物を降ろし、松本電鉄のホームへ移動する。臨時急行に接続する臨時3時40分発の快速新島々行きが出る。ホームで上高地まで通しの往復切符を4600円で購入する。松本電鉄の車両は京王井の頭線からの転用で、塗装を高原向けに白く塗り替え「highland rail」と大書きしてあった。登山靴に履き替えたり膝のサポーターをつけたりしているうちに新島々着。ここからはバスで上高地へ。眠っているうちにバスは釜トンネルを抜け、大正池にさしかかっていた。帝国ホテル前で下車し、梓川方面へ寝ぼけた状態であるきはじめる。
田代橋で梓川を渡り、左折してしばらく歩くと焼岳登山口である。ぬかるみから小沢を渡り、しばらくはササのなかのだらだらした登りである。しばらく歩くと左側に峠沢の威容が望まれる。朝もやの涼しい状態から、朝日が射してきたのでジャンパーを脱ぐ。ほどなく登りが急になってきたが、岩がゴロゴロしているのが若干気になる程度である。しばらくするとハシゴが現れた。3つ目のハシゴはかなり長かったが、若干スリルを覚えただけで、淡々と登りつづける。山肌を巻き気味に登って行くと、焼岳頂上部の凄愴なる姿が望める。きょうは天気予報どおりの快晴である。
広がる展望を楽しみながら進むと道は斜面のジグザグ道となり、わりあいあっさり焼岳小屋に到着した。ここでおにぎりとウイダーインゼリーの朝食。ここから頂上までは1時間である。さて焼岳展望台へ軽く登った後、焼岳との鞍部にいったん下る。路傍に湯気が噴出している箇所があったので顔をすこし近づけてみると熱い湯気が立ちこめ硫黄の臭いがし、眼鏡が曇った。やはりここは活火山である。鞍部からは眼前の巨大な焼岳へのアタックである。尾根の向かい側には新穂高温泉をはさんで笠が岳が実に美しく姿を見せている。笠が岳から抜戸岳への稜線が何とも言えない。思わず見とれてしまった。南アルプスもすごいが北アルプスも負けてはいない。
八合目を過ぎると「危険地帯」の表示が現れ、登山道も難度を増す。傾斜がきついし、浮石はごろついていてなかなか高度が思うように稼げない。しかも白ペンキのコースサインを見落とすとルートがわからなくなるので容易ではない。上がるにつれあたりの景色は火山らしい荒涼としたものに変わって行く。男体山とかと違い岩がガラガラ状の急登なのでそれなりにしんどい。が、展望は超一流である。笠が岳から槍ヶ岳までの稜線が、また穂高連峰が見える見える。あれが西穂、あっちが前穂、あそこが奥穂・・・あこがれの山々が次々に現れる。
前方のひときわ大きい頂上部の巨岩塊の下をかすめ、いったん左に回りこんで中の湯からの道を合わせてからその巨岩塊を登って行く。あちこちから硫黄臭とともに噴煙がゴオオオと上がり、浮世離れした光景が展開される。1箇所だけ風向きの関係で噴気にあてられる箇所があったが、無理矢理進むうちに、ひょっこりと焼岳北峰頂上にたどり着いた。南峰もそうとう雄々しく立っていて、鞍部は水溜りが火口湖のようになっている。周囲の展望は抜群。南は御岳、乗鞍が見え、上高地、梓川が俯瞰でき、槍・穂高連峰、笠が岳の展望は圧巻である。登頂のポーズ、決めっ!
下山は往路を戻る。が、浮石の多い急斜面は難儀した。コースサインを見落とすととたんに難しくなるので、焦らず慎重に下らざるを得ない。危険地帯を抜け、鞍部まで下ってからの展望台への登り返しがきつく感じた。疲れからか足下が定まらず一度だけ前のめりにスッ転んでしまう。時間が早く誰も見ていなかったのが救いか。往路と同じ位の時間をかけて、焼岳小屋に帰着。なおも下りを続ける。太陽が照り付け暑い。この位の時間になると大勢の登山者とすれちがう。ハシゴの長い下りでは登り以上に緊張する。下は見てはいけないし足は震える。
急な下りを終えるとあとはごく普通のくだりが結構長く続く。高度計を見ながら淡々と高度を下げて行く。峠沢を見て、大きく上高地方面に道が曲り、小沢を渡りぬかるみを越え、もとの林道にもどりついた。登山口の登り始めからジャスト5時間が経過していた。ここからは林道を淡々と歩き、田代橋から梓川を渡り、帝国ホテルからは木道を上高地バスターミナルへ歩いた。運良く20分後の新島々行きの整理券を入手した。帰途、松本からははじめて高速バスを使ったが、途中のバス停で降りることができず、いったん新宿に出てから京王線で帰宅した。